岡本太郎「毒を持て」で養う決断力 仕事に使える文庫第2回 偉人が書き記した名著

「嵐のときほど、協力が尊ばれるときはない。うろたえては、この協力がこわされる。だから、揺れることを恐れるよりも、協力がこわされることを恐れたほうがいい」

「失敗することを恐れるよりも、真剣でないことを恐れたほうがいい。真剣ならば、たとえ失敗しても、ただは起きぬだけの充分(じゅうぶん)な心構えができてくる」

松下幸之助のこの名著は、われわれに、人として正しいこととは何か、心の置き所をどうすれば組織や自分自身を治められるか、教えてくれるのである。

ゲームの構造を理解する

中部銀次郎著『もっと深く、もっと楽しく。』

次に、「モノの見方」が学べる本をご紹介しよう。まずは、アマチュアゴルファーとして数多くのタイトルを手中にした、中部銀次郎の『もっと深く、もっと楽しく。』(集英社)から、こんなフレーズをピックアップしてみたい。

「いいかい、3オン・1パットも4、4オン・0パットも4、2オン・2パットも同じなんだよ。どういうショットで、どういうパットでスコアをまとめたか、関係ないんだ……」

これは、著者が当時、中村寅吉プロからいただいたアドバイスだったようだが、これを受けてか、著者はこう述べている。

「ゴルフは、結局、数を競うゲームである。ショットのよしあしは問われない。俗にいう“上がって、いくつ”なのだ」

「ゲームの構造を理解する」のは、優れた経営者、ビジネスパーソンなら必ずやっていることだが、同様のことが稲盛和夫の『実学』(日本経済新聞出版社)でも述べられている。

稲盛和夫著『実学』

「経営者は誰でも利益を追求するのだが、多くの経営者が売上を増加させようとすると当然経費も増えるものと思っている。これがいわゆる経営の常識なのである。しかし、『売上を最大に、経費を最小に』ということを経営の原点とするならば、売上を増やしていきながら、経費を増やすのではなく、経費は同じか、できれば減少させるべきだということになる」

売り上げが拡大しても追加コストが発生しない仕組み―。ITビジネスが登場するはるか前から、稲盛氏はそんな経営を考えていたのである。

「経理が準備する決算書を見て、たとえば伸び悩む収益のうめき声や、やせた自己資本が泣いている声を聞きとれる経営者にならなければならないのである」。経営者なら読んでおきたい名著である。

ニブイ人間だけが「しあわせ」だ

最後にご紹介したいのは、決断力を鍛える2冊。まずは、進路を決めるための指南書として、大阪万博「太陽の塔」の創作で一躍有名になった芸術家、岡本太郎の『自分の中に毒を持て』(青春出版社)をご紹介したい。

本書は1988年に発売されて以来、数多くの方に影響を与えてきた自己啓発書。冒頭から、こんな言葉が述べられている。

岡本太郎著『自分の中に毒を持て』

「人生は積み重ねだと誰でも思っているようだ。ぼくは逆に、積みへらすべきだと思う。財産も知識も、蓄えれば蓄えるほど、かえって人間は自在さを失ってしまう。過去の蓄積にこだわると、いつの間にか堆積物に埋もれて身動きができなくなる。人生に挑み、本当に生きるには、瞬間瞬間に新しく生まれかわって運命をひらくのだ」

そして進路など重要な決断に役立つ考え方がこちら。

「危険だ、という道は必ず、自分の行きたい道なのだ。ほんとはそっちに進みたいんだ」

それでも今が幸せならいい、という考え方もあるだろう。それに対して、岡本太郎は、こんな挑発をしている。

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