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残り80頭切ったサイ、マレーシア最後のオスが死亡

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/6/21

Lauren E. James, Clare Trainor, NGM Staff. Art: Joe McKendry Sources: Global forest watch; Protected planet; Global wildlife Conservation; International Rhino Foundation; World wildlife Fund; IUCN Species Survival Commission

キネアード氏は次のように述べる。「飼育環境下でタムの子が生まれることをとても期待していました。しかし、タビン保護区で残っている2頭のメスは妊娠しなかったので、その希望がかなうことはありませんでした」

タムに子供ができることはなかったが、タムを飼育したことでスマトラサイについての理解が深まったことは確かだ。

国際サイ基金の理事であるスージー・エリス氏は、「ボルネオサイ同盟の高度な繁殖技術、とりわけ卵子を取り出して胚を作成しようとする試みは、スマトラサイの生態について理解を深める一歩になりました」と述べている。

「スマトラサイがどれほど絶滅の危機に瀕しているかを、広く理解してもらう必要があります」とエリス氏は言う。「タムの死は、生息数のおよそ1%が失われたことを意味するのです」

■負けられない闘い

タムの死は悲しいことだが、野生のサイを見つけることを促す注意喚起でもあるとキネアード氏は言う。キアネード氏は、2年前からWWFインターナショナルのスマトラサイ保護活動の指揮にあたっている(スマトラサイ・レスキュー・アライアンスには、WWFも参加している)。

朗報と言えるのは、このアライアンスが18年後半、パフと名づけられたメスを新たに保護したことだ。ケリアンという場所に新しく建設された繁殖用施設にパフを移送する際には、警察だけでなく土砂を撤去するブルドーザーも同行させるなど手を尽くした。

キネアード氏によると、専門家はパフに繁殖能力があると考えている。パフは新しい住みかで元気に過ごしており、運が良ければ近いうちに仲間と一緒に暮らせるかもしれない。

「直近の調査によれば、カリマンタンの森にはまだサイがいるようです。私たちは新たな希望を感じています」とキネアード氏は述べる。

「残り80頭のスマトラサイを救うことにひたすら集中し続けなければなりません。徹底した保護活動と飼育下での繁殖を組み合わせ、現地の人々とも協力して、サイは自分たちの生物学的遺産だという誇りを呼び起こすのです」とエリス氏は言う。「これは、負けられない闘いです」

(文 Jason Bittel、訳 鈴木和博、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年5月29日付]

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