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食の達人コラム

数の子・塩辛… 日本の塩蔵食品、保存と発酵の技満載 魅惑のソルトワールド(30)

2019/6/14

塩辛をはじめに様々な塩蔵食品がある

身近な塩蔵食品といえば、塩ザケ、たらこ、塩辛などが思い浮かぶ。その原料となる食材は多種多様で、バラエティーに富んでいる。大きく分けると、塩抜きして食べるか、そのまま食べるかの違いがある。前者は純粋に長期保存のために、だいたい食品の重量の30~40%程度の量の塩で漬けこむため、そのままでは食べられない。後者は保存のためもあるが、熟成や発酵を利用して食材のうまみを引き出したり、風味の変化を楽しんだりする塩蔵食品なので、塩分濃度はさほど高くないものも多い。

塩抜きして食べる塩蔵食品で、現在でも日常的な食べ物として、海産物では数の子や塩クラゲ、棒ダラ、塩蔵ワカメ、塩ザケがあり、肉類では塩豚などがある。新潟県村上市の塩ザケのように、塩蔵した食品を乾燥させるために軒先にぶら下げる姿が街の風物詩になっている地域もある。

これらの塩蔵食品はしょっぱすぎてそのままでは食べられないので塩抜きをするが、それにはコツがある。水に浸すだけでもできるが、塩分濃度の差が大きすぎるために、食品が急激に真水を吸い込んで、うまみが抜けて水っぽくなってしまう。それを防ぐため、塩分濃度0.5~1%程度の薄い塩水を作り、そこに塩蔵食品を入れる。こうすると、食品の中に塩分を適度に残しつつ抜くことができる。また、食品の中に急激に真水が入り込まないので、うまみも抜けにくい。「呼び塩」「迎え塩」とも呼ばれる和食の技法で、古くから使われている。

塩抜きをせず、そのまま楽しめる塩蔵食品は非常に数が多い。なじみ深い物としては、海産物では塩辛、たらこ、干物、肉類ではベーコンやハム、野菜では各種青菜の塩漬け、梅干し、キムチ、乳製品ではチーズが一般的だろうか。ある意味、しょうゆや味噌も塩蔵食品と言えなくもない。どれも、私たちの日常食には欠かせないものである。

塩蔵食品は保存性が高まるだけでなく、熟成や発酵で風味や食感の変化も楽しめる。適量を上手に楽しみながら、日本の伝統食を残してほしいと願っている。

(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)


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