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IMF見明氏 本当の「男女平等」で経済に弾みを

日経ARIA

2019/6/17

国際通貨基金 アジア太平洋地域事務所 エコノミスト 見明奈央子(みあけ・なおこ)氏
日経ARIA

国際通貨基金(IMF)は日本の将来の実質国内総生産(GDP)について「直近の成長推移に比べ、40年後に25%減少する」という、試算に基づく警鐘を鳴らした。しかし同時に労働市場における二重構造解消や、非正規労働者の労働生産性上昇などの改革で、40年後には実質GDPを15%押し戻せるという分析もしている(※1)。日経xwoman総編集長・日経ARIA編集長の羽生祥子が、国際通貨基金 アジア太平洋地域事務所 エコノミスト、見明奈央子氏へインタビュー。諸外国の人口動態や経済成長の動向も含め詳しい内容を聞いた。

■非正規雇用者も、アウトプットが同じであれば同賃金に

羽生祥子編集長(以下、羽生) 「労働市場における二重構造」のうちの一つに、正規・非正規という格差問題があります。日本では女性の非正規雇用が多いままです。

見明奈央子氏(以下、見明) 大切なことは、雇用形態の議論よりも、非正規雇用者にも職業訓練や昇進の機会を広げ、生産性と賃金水準を引き上げることだと思います。また現在の日本では、正規雇用であっても、コース別管理制度の運用の名の下で総合職と一般職との間で給与体系や福利厚生が大きく異なり、待遇格差が生まれる要因があります。経済学的な視点からも、生産性、つまりアウトプットが同じであれば同じ賃金という「同一労働同一賃金」が徹底されるのがベストだと思っています。

羽生 子育て中の女性にとって、月曜から金曜までフルタイムで働くことが難しいこともある。その場合、非正規雇用者の道しか選べないとなると、待遇格差が待ち受けている。これは、悪しき二者択一ですね。非正規雇用者でもアウトプットに応じて正規雇用者と同じレベルの賃金が得られるとなれば、働き方が幅広く選択可能になります。

■男女格差解消に取り組むカナダ・フランス・ドイツの例

羽生 海外の動向も伺いたいと思います。労働市場における男女の格差(賃金や就労形態の差)の改善が経済成長にとってプラスに働いた国はありますか?

見明 あります。例えばカナダは配偶者控除を撤廃し、また公的部門の賃金格差是正で経済成長がプラスに動くことに成功しました。日本は女性の労働参加率は男性と比べてまだ7%ほど低い状況ですが、同等水準への引き上げによってGDPは4%程度上昇するとの試算(※2)があります。翻って日本ではまだ配偶者控除が撤廃されていません。この点について、非常に残念だと申し上げたのは、一人のワーキングマザーとしての私個人の本音です。

(※1)Colacelli and Corugedo, 2018 “Macroeconomic Effects of Japan’s Demographics: Can Structural Reforms Reverse Them?”
(※2)Petersson, Mariscal and Ishi 2017 ”Women Are Key for Future Growth: Evidence from Canada”

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