思い出写真の保存 無料無制限クラウドでバックアップ
前回「思い出の写真を百年保存 光ディスクへの正しい記録法」で紹介したように、光ディスクは写真の長期保存に向くとはいえ、事故や災害などによる物理的損傷に遭うとさすがにお手上げだ。そこで、自宅から遠く離れた場所にあるクラウドのサーバー(サービス用コンピューター)にも、思い出のデータをバックアップしておこう。お薦めは「グーグルフォト」。無料のうえ、写真や動画に限り容量無制限で利用できる。
グーグルフォトは、同じくクラウド上にファイルを保管するサービスの「ワンドライブ」や「ドロップボックス」などと似ているが、パソコンとクラウドの間でファイルの状態を同期しないのが特徴。特定のフォルダーに入れたファイルがクラウドに自動でアップロードされる仕組みだが、アップロード済みのファイルをパソコンから消してもクラウド上では消えない。つまり、パソコンからクラウドへの一方通行なので、うっかり手元のデータを消しても大丈夫だ。
1600万画素に落ちる?
グーグルフォトを無料かつ容量無制限で利用する場合、写真は1600万画素以下、動画は1080p(フルHD)以下に変換されて圧縮率も高くなる。とはいえ、例えば4対3比率で1600万画素の写真は約4600×3400ドットと大きいので、コンパクトデジタルカメラやスマホの写真なら縮小されることはまずないだろう。圧縮率も図2のように、違いがほとんどわからない程度。もし、変換や圧縮が嫌なら有料で使う手もある。写真や動画を元データのまま保存でき、月額料金は容量100ギガで税込み250円、200ギガで同380円だ。
パソコン内のデータをアップロードするには無料の専用アプリが便利だ。指定したフォルダー内に写真や動画を入れると自動でアップロードしてくれる。専用アプリを入手してインストールし、アップロード対象のフォルダーを選ぶ。その際は「高画質」と「元の画質」を選べるが、無料かつ容量無制限なのは前者だ。初期設定ではスクリーンショットも自動アップロード対象となるので、不要なら外しておこう。
入れると自動でアップロード
設定直後は対象フォルダー内の写真と動画がすべてアップロードされ、その後、ファイルが追加されるとその都度アップロードされる。アップロードした写真や動画はウェブブラウザーやスマホのアプリから閲覧、ダウンロードできる。後述する方法で一括ダウンロードも可能。
前述したように、ダウンロード対象フォルダー内にある写真や動画を削除してもクラウドには残る。クラウド上のデータを消すときはウェブブラウザーを使う。
スマホで撮った写真や動画を自動アップ
スマホで撮影した写真や動画をそのままにしておくと、スマホの紛失や破損によって思い出データを失う危険がある。そこで、スマホの思い出データもグーグルフォトに自動アップロードしよう。
アンドロイドでは標準アプリの「グーグルフォト(フォト)」で設定をオンにするだけ。iOSもアプリをインストールして同様に設定すればよい。パソコンと同様に「高画質」と「元のサイズ」を選べるが、無料で使えるのはこちらも前者だ。
スマホとクラウドを統合、うっかり消去に注意
このアプリはスマホ内部とクラウド上の写真や動画を同じように扱えて便利だが、ファイルの削除は要注意。端末だけでなくクラウド上からも消えてしまう。間違えて削除した場合は、60日以内ならクラウドのゴミ箱の中に残るので、そこから復元しよう。
スマホの空き容量が圧迫している場合は、クラウドにアップ済みの写真や動画を端末上でのみ削除しよう。「空き容量を増やす」を使うと、クラウドはそのままに、スマホ内でのみデータを削除できる。なお、「フォト」以外のアプリで写真や動画を消しても、クラウドは影響を受けない。
クラウドの写真と動画を一括ダウンロード
クラウドに保管した写真や動画をまとめてパソコンにダウンロードしたいときは「グーグルテイクアウト」という機能を使うとよい。グーグルフォトにアップロードしたすべてのデータをZIP形式の圧縮ファイルとしてダウンロードできる。スマホから自動アップロードした写真や動画を光ディスクにバックアップするときに便利だ。
グーグルテイクアウトは、グーグルが収集した個人データを一括でダウンロードできる機能だ。グーグルフォトだけでなく、Gメールやクローム、マップなどのデータも入手できる。
初期設定では2ギガ単位で分割された複数のZIPファイルが用意される。展開すると撮影日ごとにフォルダー分けされているので、そのままDVDなどに書き込めばよい。
(ライター 田代祥吾)
[日経PC21 2019年7月号掲載記事を再構成]
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