ESG投資は「親友選び」 プロも重視(平山賢一)東京海上アセットマネジメント執行役員運用本部長

写真はイメージ=123RF
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「5月のロンドン出張でESG投資の流れが不可逆なことを実感した」

ESG投資への注目度は近年、世界でますます高まっています。投資を行う際の企業評価はこれまで、売上高や利益といった数値で計測しやすい財務情報を重視していたのが、最近は環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)といった非財務情報を重視する傾向が強まっています。

■環境・社会・ガバナンスで銘柄選び

具体的には「環境」については地球温暖化に伴う二酸化炭素(CO2)排出量の削減方針など、「社会」については女性従業員・経営者の活用や人権尊重方針など、そして「ガバナンス」は取締役の構成や経営執行に対するチェックが健全に行われているか否か――、といった点に注目して投資します。これらの側面は短期的な企業業績の変化に影響を与えるというよりも、中長期の時間軸で安定的に企業業績を成長させていくために不可欠であると考えられています。

ESG投資ではこれらの非財務情報を着実に把握し、企業評価に反映した上で投資判断をします。特に機関投資家と企業の対話の際に、課題として取り上げられる傾向が強まっているのが現状です。

■アナリストの世界大会でも議論

代表的な証券アナリスト団体の一つであるCFAの2019年年次総会が5月、80カ国以上から1900人超の投資プロフェッショナルを集めてロンドンで開かれました。総会冒頭のビデオメッセージでは、チャールズ英皇太子が地球温暖化への懸念を訴えつつ、投資プロフェッショナルがESGを投資プロセスに組み入れ、長期的な企業活動のレジリエンス(回復力)に着目していくことを求めました。

総会中でも、例年以上にESGに関する議論が多くなされ、その内容も例えば昨年の年次総会と比べて総論的な内容から各論に踏み込んだ内容にグレードアップされていたのが印象的でした。それだけ、世界中の投資プロフェッショナルがESGに本気で取り組み始めたと言えるでしょう。

■背景に金融危機への反省

特にグローバル金融危機後には、金もうけのイメージが強い短期的な企業業績のみにこだわる投資から、持続可能な社会を築く社会貢献に軸足を置いた長期投資へのシフトが加速しています。08年当時、金融市場が目先の利益に猛進する動きを金融関係者自身が止められず、世界経済全体を危機の淵に立たせてしまった反省から、暴走を回避できるようなマーケットを再構築していこうという意思の表れかと思います。

日本でも数十年前から、企業は社会に貢献すべきとの考えを背景に地道に社会責任投資を実践するファンドが存在していましたが、投資の主流になることはありませんでした。それが、危機を再び起こさないことを強く意識するせいか、近年のESG重視の流れは本格化しており、日本の大部分の機関投資家で専門の部署が設置されるようになっています。

従来との違いは各国政府、および国際機関と一体となって、その動きが金融業界に浸透してきている点です。どうやらこの流れは、止めることのできない不可逆なものになっており、機関投資家だけでなく個人投資家にとっても、このESG投資の流れを無視し続けることはできないでしょう。

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