根気はものすごく必要ですが、影響力の大きいリーダー層に直接働きかけられることに、とてもやりがいを感じます。社長の意識が変われば、会社全体の空気が変わっていきます。僕自身も、この仕事を通じて学び続けていますよ。最近は、反対意見をもらうほどやりがいを感じます。文句を言われるほど、「よし、ここから劇的に変えてやろう」と燃えますね。文句は大好物です(笑)。
「自分らしいキャリアをつかみたい」という若者に向けて、メッセージをお願いします。
伝えたいメッセージは二つあります。一つは、「真逆を考えるクセを持とう」。例えば、起業家を目指す同級生がまぶしく見えて「自分も何かで起業できるんじゃないか」という気持ちが芽生えてきた時に、勢いで突っ走らずに、あえて真逆を考えてみる。「学生起業家やベンチャー就職が多いからこそ、あえて大企業でじっくりビジネスの基礎を学ぶ価値もあるんじゃないか」と、思考の軸を広げることをおすすめします。
人間はどうしても好きなほう、楽しそうなほうへと視界が狭まりがちだけれど、経験が少ない若い時期ほど、選択肢の幅を広げたほうがいい。「いいね、いいね」と言ってくれる友達だけでなく、いつも反対意見をかぶせてきてカチンと来るような友達も大切にしてください。
もう一つは、「振り返りを大事にしよう」。人材育成の世界では自己認識力を高めることが重要になってきますが、その手法として有効なものが振り返りです。経験から学んで次の機会にすぐに生かす糧にするには、学びの整理整頓が必要なんです。
「今回、いつもよりうまくいったのはなぜだろう?」「失敗した原因はなんだったんだろう?」と、結果と原因を結びつける。それから「今回の学びを、こういう時に役立てたい」と、応用シーンをイメージするのがポイントです。学びを引き出しの中にしまう感じで分類して記憶する。この振り返りのクセを身につければ、効率的に学びを実践に変えられます。きっと成長のスピードがぐんと上がって、学ぶ喜びを感じられるはずですよ。
(ライター 宮本恵理子)