「のりたま」刷新、実に8回 信頼守るため変え続ける丸美屋食品工業 阿部豊太郎社長(上)

――19年連続の増収ですね。

「2018年12月期の売上高が約503億円。19年は520億円を計画しています。平成の30年間で売上が3倍近く伸びました。昭和の終わり頃の売上高は約170億円でしたから。方向性としては割とわかりやすい。ブランドを強化して次世代の商品群を育成しようということに取り組んできた」

「ただですね、増益はなかなか難しいんです。例えば主原料のゴマ。18年あたりは落ち着いていましたが、この数年間で倍ぐらい価格が上がっています。国際相場や為替の影響で原材料コストは上がっていますし、年々、物流費も上がっています。そういう意味で、コストアップ要因が多い。それと、販売面での競争もまた激しい。例えばお弁当ユースなどでふりかけ市場は活性化していますから、スーパーの棚が限られているなか、そこに商品を並べてもらおうとすると、どうしても競争が激しくなります」

――94年に社長就任して以来、変えたこと、変えなかったことは?

「変えなかったのは消費者本位。消費者視点に立ち、消費者から信頼される商品を作るということですね。ブランドは我々にとって最大の資産ですので、要するに、変なものを出さないということ」

「『麻婆豆腐の素』などは、スーパーの店頭率(店頭に置かれている割合)で言うと100%に近いんです。それから、『のりたま』などは、おばあちゃん、ひいおばあちゃんも食べたということで、3世代、4世代にわたって愛される商品に育っていますから、思い出もあるわけです。消費者が納得のいくような中身、価格も含めて、品質のしっかりしたものを出していかないといけません。それは常に心がけています」

20数年かけて経理以外の組織を全部変えたという

「変えたものと言えば組織でしょう。94年当時と変わっていないのは経理ぐらいじゃないでしょうか。あとは全部、変えました。それもいっぺんに変えたのではなく、20数年間かけて徐々に変えてきた」

「『のりたま』も、大きくは過去に8回、リニューアルしています。私が社長になってから最初のリニューアルは96年にしていますが、この時は卵の食感を求める消費者の意見を参考に、『たまごそぼろ』を追加して粒子を2種類にしました。見栄えもしますし、味も深く、コクのある味になる。それと、空気や光を通さないフィルムを採用し、保存性も高めたのもこの時からです」

続く後編では東大を出て、長銀に入り、15年間、勤めた後、実家を継いだいきさつや、バンカー感覚を生かした経営の見直しなどについて振り返ってもらう。

(ライター 曲沼美恵)

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