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エベレストの登山渋滞 惨事を防ぐには何が必要か

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/6/15

映画製作者エリア・サイカリー氏は、この画像をインスタグラムに投稿した。「下山中にこの景色がかろうじて見えたので、さっと写真を撮りました」(PHOTOGRAPH BY ELIA SAIKALY)
エベレスト登頂を目指す登山隊とすでに引き返している登山隊の両方が、混雑した1本の道を進む(PHOTOGRAPH BY ELIA SAIKALY)

長年エベレストについてのブログを書いてきたアラン・アーネット氏は最近、エベレストでの今シーズンの死者11人のうち5人が混雑によるものかもしれないと投稿した。

「下山するまでの十分な酸素がないにもかかわらず山頂を目指し続けるというのは、お粗末な決断です」とジョンズ氏の同僚ガイド、エリック・マーフィー氏は話す。「順番待ちをしているときには酸素の流量を少し下げ、使い果たすことのないようにしています」と同氏は、エベレスト山頂付近で必要な酸素を確保する方法を説明する。

同氏によると、行列の動きが遅いのは、何よりもリーダーシップの問題だという。「遅い登山者にシェルパが付いているなら、本当はそのシェルパが『人が通れるように脇に寄って少し休みましょう』と言うべきなのです。しかし、それは多くのシェルパにとっては、責任が重すぎるのです」と同氏は話す。

登山技術の微妙な差も移動速度を遅くしていると、マーフィー氏は指摘する。「平らな地形であっても、すべてのロープに登高器を取り付ける人もいるのです」と同氏は話す。登高器とは、固定ロープに取り付け、登山者の滑落を防ぐ道具だ。地形が平らな場合、通常のカラビナの方が速く、比較的安全でもある。登高器の付け外しには10~15秒かかる。「カラビナよりも、遅い方法なのです」

「混雑がニュースになりましたが、問題は登山者の経験不足なのです」と経験豊富なガイドで、ナショナル ジオグラフィック協会が率いる科学チームの一員でもあるマーク・フィッシャー氏は話す。「自己管理や効率的な登山技術、環境への適切な準備などを知らないようでした」

山頂付近の登山者数に影響を与えたもう1つの問題は、天候だ。例年、エベレストでは、登山者が登頂を目指せる比較的穏やかな天候の日が、5月に10~15日間ほどある。しかし、今シーズンはサイクロンの余波を受け、シェルパ隊が登山者のためにあらかじめ設置する固定ロープの完成が数日遅れた。5月14日に登山ルートが山頂まで開通した後も、天候が安定せず、登頂に適した期間がさらに短くなった。

5月19日ごろには、天気予報が完全に変わった。それまで最高の条件だと考えられていた5月24日が、最悪の条件に突如変わったのだ。風速が30メートルに達するとも予想されたため、多くの登山隊は5月22日か23日までに登頂に挑戦するよう日程を変更した。

■ラッシュアワーを避けるという新たな戦略

2019年シーズンの最終的な公式のエベレスト登山者数はまだ発表されていないが、登頂者数の点では、今年は記録的なシーズンになるだろう。最新の報告によれば、今シーズン、ネパール政府が最多記録となる381通の許可証を発行したほか、許可を受けた登山者およそ140人がチベットから登頂を目指した(山で働くプロのシェルパは、この集計には含まれていない)。アラン・アーネット氏の報告によると、シェルパを含めた今年の登頂者の非公式記録は891人に上ったという。これまでの最多記録は2018年の802人だった。

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