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新卒採用に「2021年問題」 若手人材難、本番これから

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NIKKEI STYLE

6月1日の東京・丸の内。いつもは閑散としている土曜日のオフィス街をスーツ姿の若者が行き交っていました。就職活動中の学生たちです。この日は2020年春・新卒採用の選考解禁日。既に内定を出した企業もありますが、大手企業はこの日からが本番。本命の会社の面談に向かう学生たちの緊張した表情が目に付きました。

今年の就職戦線は昨年以上の売り手市場といわれています。就職情報のディスコ(東京・文京)によると、6月1日時点の内定率は71.1%と前年比5.4ポイント上昇しました。一方で「採用活動は順調」とする企業は25%にとどまり、「苦戦」が48%を占めます。採用計画通りに学生を確保できない企業の実情が浮かび上がります。

浜銀総合研究所(横浜市)主任研究員の遠藤裕基氏は「採用難の本番はこれから。特に21年以降、一層厳しくなる」とし、「新卒採用の2021年問題」に警鐘を鳴らします。根拠は22歳人口の推移です。10年代はほぼ横ばいでしたが、22年以降、減少トレンドに入ります。21年就職戦線から学生の獲得競争が厳しさを増すわけです。

日本は1989年に合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むと推計される子どもの数)が1.57と戦後最低を更新し、少子化が社会問題化しました。ただ90年代の年間出生数はほとんど減っていません。出生率は下がっても出産期にある女性人口の増加がそれを補ったからです。しかし00年代に入ると、この効果がなくなり、年間出生数が減り始めました。国の将来推計人口(17年推計)によれば、20年の22歳人口は124.4万人ですが、22年122.7万人、25年115.1万人、30年110.9万人と急減します。

新入社員獲得には採用手法の工夫が大切になります。先手を打つ企業も出ています。トランスコスモスは18年に「3years Return Pass」を導入しました。内定辞退者に3年間の優先選考・入社権を保障します。他社に入社したものの仕事内容が期待と異なり、早期退職する第二新卒を狙った対策です。東急エージェンシーは留年学生に限定した採用ルートをつくりました。留年を多くの企業が敬遠するなか「留年は、財産」としてより多くの応募者確保を目指します。

一方、学生も油断は禁物です。22歳人口の急減は新卒採用制度の見直しを促すと遠藤氏はみています。「期待レベルに達していない学生を企業は無理に採用しません。代わってキャリア採用が広がるはず。ライバルは社会人。学生のうちから働く力を身に付けないと就職戦線に勝てません」

遠藤裕基・浜銀総合研究所主任研究員 「人材枯渇時代、企業の対策は3つ」

若年人口が急速に減っていく「新卒採用の2021年問題」。企業や学生はどう対応すればよいのでしょうか。問題提起した浜銀総合研究所の遠藤裕基・主任研究員に聞きました。

――足元の人手不足も深刻です。新卒採用において、これがもっと厳しくなっていくのですか?

「22歳人口は2000年代を通じて減少傾向で推移した後、10年代はほぼ横ばいでした。それが20年代になると再び減少トレンドになります。22年以降は毎年数万人ずつ減っていきます。ここ数年、新卒採用は売り手市場が続き、企業は計画通りに学生を採用するのに苦慮してきましたが、さらにきつくなるでしょう。ここまでを人材不足時代だとしたら、人材枯渇時代の始まりです」

――企業が取りうる対策は?

「私は3つあると思います。1つはワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の徹底です。大学生・大学院生が内定を辞退した理由をみると、業種や給与、職種が希望と違うという理由のほか、勤務時間・休暇が挙がっています。ワーク・ライフ・バランスを重視するのは最近の学生・若者の傾向です。仕事をないがしろにしようという意識ではありません。無駄な残業はせず、休むときはしっかり休む一方で高い生産性で働こうと思っています。若者の価値観の変化に合わせて就労環境を整えないと就職先に選んでくれません」

「2つ目は従来とは異なる新卒採用手法の模索です。できるだけ間口を広く構えないと、応募者数を十分に確保できません。例えば通年採用もその1つです。長年経団連が主導し、大学・大学院卒の就職活動スケジュールは横並びでした。いつ会社説明会を開始し、面接選考はいつから解禁か。経団連は毎年一律の目安を示してきましたが、今年を最後にこうした就活ルールをやめます。混乱を避けるために国は来年度以降も現状スタイルを踏襲すると明らかにしていますが、変化は止められません。そもそも現行の就活スケジュールは卒業シーズンが日本と異なる海外大学出身者を採用しにくくしています」

「今後は日本だけにとどまらず、世界的な人材確保競争も高まっていくでしょう。優秀な海外人材を採るためには、毎年4月に一斉に入社する新卒一括採用や、同期入社は横並びという初任給制度が障害になります。新入社員であっても特定の職種については高額な給料を出すことも考えなくてはいけません。今までと同様の採用手法にこだわっていると、有能な人材の確保に後れをとる危険性があります」

「3つ目は中途採用の積極利用です。人材枯渇時代になっても、企業は計画通りの新卒採用を確保するために採用水準を落とすことはないでしょう。新卒採用で人員補充が難しければ中途採用を進めるしかありません。実際、総務省の『労働力調査』でみると、転職者はここ数年増加傾向にあります。転職に伴い賃金が増えている人が増えているのも最近の傾向です。日本企業では長く務めるほど賃金が右肩上がりで増えていく終身雇用は働く側にも利点がありました。でも最近は社歴を重ねても思うように給与は増えません。新卒で就職した企業で勤め上げる理由が薄れています。チャンスがあれば転職するのも自然な選択。企業も新卒一括採用にこだわらず、中途採用に目を向けるべきです」

――同世代が減り、競争相手が少なくなる学生は「2021年問題」を喜んでいいのでしょうか?

「楽観してはいけません。新卒一括採用や終身雇用といった日本的雇用慣行自体を企業は見直そうとしています。若者人口の減少で人材枯渇時代に入ったら、雇用慣行の見直しが加速するでしょう。先ほど企業はワーク・ライフ・バランス対策を拡充すべきだといいましたが、それは優秀な学生を採用するための手段。一定水準に及ばない学生まで企業は採用しません。いわば学生の中でも二極化が進むでしょう」

「優秀な学生はワーク・ライフ・バランスが整った働きやすく働きがいもある会社に入社できる一方、企業からみて魅力のない学生は就職が難しくなるでしょう。欧米のように日本も若年失業率が高くなるかもしれません。待遇が低かったり昇給も見込めなかったりする定型業務に就ける可能性はあります。ただ、こうした仕事はいずれ人工知能(AI)、ロボットなどに取って代わられます。生涯安泰ではありません」

「日本的雇用慣行が薄れてくると、給与体系は欧米型の職務給に近づくと思います。今のような年齢に応じて給与が増える年功序列型ではなく、実際どんな業務を担当しているのか、その職務内容に応じて給与が決まる仕組みです。新卒採用であっても、どんな能力を持ち、何ができるのかを企業は学生に求めます。学生のうちに長期インターンシップなどを経験し、仕事能力を身に付けなくてはいけない時代がくると思います」

(編集委員 石塚由紀夫)

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