寄付と投資で貢献 子に教えるお金の使い方(渋沢健)コモンズ投信会長

2019/6/10

カリスマの直言

写真はイメージ=123RF
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「キャッシュレス化が進む社会だからこそ、子どもが幼いころからお金の使い方の意味を教えたい」

子どもにスマートフォンを渡すべきか迷う親は多いと思う。渡した場合、どのようなルールを決めるのか、あるいはインターネットのアクセスにどれほど制御をかけるか試行錯誤をするだろう。私も親としてかなり迷った。

ある日、携帯電話会社から請求された料金が高額になっていることに気が付いた。子どもが無断でスマホ決済をしていたのだ。何に使ったのかと問いただすと、課金制のゲームであることが判明した。

スマホを取り上げる、ネットのアクセスを完全に制御するといった対応を考えたが根本的な解決にはならないと思いとどまった。問題は子どものお金の使い方という金銭感覚にあるからだ。

価値の交換・尺度・保全 お金の機能は3つ

特にキャッシュレス化が進む世の中では、実物のお金がポイントや電子マネーなどと区別できない傾向が高まっているのではなかろうか。キャッシュレス社会が進むからこそ、次世代が子どものころからネットやスマホなどに慣れ親しんでいるデジタルネーティブであるからこそ、私たち親は子どもたちが幼い頃からお金の使い方の教養を身に付けるよう取り組むべきだ。

お金には物品との「交換」、他と比べる「尺度」、そして価値の「保全」という3つの機能があり、キャッシュレス化はこれらの機能の利便性を高める。

ただ子どもたちにこの3つの機能をしっかり教えても、実物のお金とポイントや電子マネーなどとの区別が腹落ちするだろうか。交換、尺度、保全という機能だけを求めればポイントなどでも十分だ。

子どもたちがお金の機能を学ぶことは重要である。ただ、お金の使い方という意味も体感しながら学ぶことが大切ではなかろうか。弊社コモンズ投信が主に小学生向けに開いている「こどもトラストセミナー」では、4つのお金の使い方があることを子どもたちが体感できるように心がけている。ご参考までに紹介したい。

お金の使い方でまず教えるのは「消費」。自分が欲しいと思うモノやサービスとお金を交換すること。これは小さな子どもでもすぐにわかってくれる。ただ消費について大切なのは、自分にとって大事な価値とは何かを考える意識を持つことだ。値段が高いから良いとは言えない場合があり、むしろ自分が良いと思っている価値より値段が割安と感じたときに消費の満足度が高まる。満足度が高い、賢い消費者になろうと子どもたちに伝えている。

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