定年シニア投資の落とし穴 高金利外債に為替リスク経済コラムニスト 大江英樹

写真はイメージ=123RF
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最近は、外貨建て商品が流行しています。例えば高金利海外債券や外貨建ての個人年金保険といったものです。シニア層でも購入している人は少なくないとみられます。ところが結論から言えば、こうした商品に安易に投資するのは避けた方が良いでしょう。多くの場合、「低金利の日本より海外の高金利商品で運用したほうが良い」「老後に備えた資産形成に役立つ」といったセールストークで勧められるのですが、実際に投資して収益を得ようとしてもなかなか難しいことが多いからです。特に知っておきたいのは為替変動のリスクです。

海外の高金利債券を買うということは、間接的にその国の通貨を購入することになります。したがって自分が持っている円をその国の通貨に両替するわけですが、そのときに適用されるのが為替レートです。そもそも為替レートというのは異なる2つの国の間でそれぞれの通貨を交換するときの比率のことです。

通貨の価値は「そのお金でどれだけの品物が買えるか」、すなわち購買力が源泉ですから為替レートは長期的にはそれぞれ2つの国において購買力が等しくなるような水準に調整されるという性質を持っているとされています。

高金利通貨は長期で下落しやすい

高金利通貨、つまりその国の金利が高いということは多くの場合、その国がインフレ傾向にあることを示します。長期にわたってモノの価格が上昇する状態が続けば、通貨の購買力は低下することになります。したがって購買力の低下幅がより大きい通貨の相場は、低インフレで低金利の通貨、例えば円のような通貨に対して長期的には下落することになります。このため、いくら高金利通貨の債券を持っていても最終的に為替が原因で損失を出すことになりかねません。

加えてドルやユーロなどの主要通貨であればともかく、トルコリラやブラジルレアルといった新興国通貨の場合は、為替の手数料が高くなります。そういった事情を考慮すれば高金利の海外債券投資は決してお勧めできるものではありません。外貨建て保険も同様で、為替リスクを考えると安易に購入すべきではないでしょう。

そもそも金利が高いのはその債券を発行している発行元の信用度が低いことが理由で、基本的にはリスクが高いものなのです。これはあらゆる金融商品に言えることですが、できるだけシンプルなものに投資すべきだというのが資産運用の大原則です。複雑なものほどリスクも見えにくいし、手数料も高くなるのが一般的だからです。

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