定年シニア投資の落とし穴 高金利外債に為替リスク経済コラムニスト 大江英樹

さらに気を付けるべきことは「海外については情報も少ないし、よくわからないから専門家に任せる方が良い」と考えることです。専門家だから上手に運用してくれるとは限りません。

運用は物価上昇への備えを重視

実際に外貨建て保険の契約者からの苦情は増えていて、生命保険協会が2019年2月に公表した資料によると苦情件数は17年度に1888件と12年度の約3倍になっています。苦情の原因は8割弱が「説明不十分」で、内訳をみると「元本割れリスクについて適切な説明を受けていなかった」が43%を占めました。その後に生保各社はリスクをより詳しく解説する資料を用意するようになりましたが、勧誘を受けても慎重に判断した方が良いでしょう。

誤解しないでいただきたいのは、定年シニアの方に一切運用をするなと言っているわけではありません。退職後に手元に残った金融資産は老後の生活を支える大事な資金です。もし物価上昇が続けば金融資産の価値は目減りするので、それを補う手段のひとつとして運用は検討に値するでしょう。

ただしリスクが高い運用は避けるべきです。「個人向け国債変動10年」など物価上昇にある程度対応できる金融商品が選択肢になりそうです。現役時代から投資経験を積んでいる人であっても、自分がどれくらいのリターンを目指し、どれくらいのリスクを取れるのかを十分に考えることが大切です。

「定年楽園への扉」は隔週木曜更新です。次回は6月27日付の予定です。
大江英樹
野村証券で確定拠出年金加入者40万人以上の投資教育に携わる。退職後の2012年にオフィス・リベルタスを設立。著書に「定年3.0 50代から考えたい『その後の50年』のスマートな生き方・稼ぎ方」(日経BP)、「定年男子 定年女子 45歳から始める『金持ち老後』入門!」(同、共著)など。http://www.officelibertas.co.jp/
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