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付き合いよりも役立つ情報を 中外製薬女性MRの挑戦

中外製薬 チームCSK(上)

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NIKKEI STYLE

「1対1の信頼関係を築くことが営業力につながる」とされてきた医薬品業界のMR(医薬情報担当者)の担当制度。その制度の根本から見直し、「コンシェルジュ型営業」を提案、実験的に現場で運用してみたのが中外製薬の「チームCSK」だ。様々な業種から選抜された営業職女性が主役となって、現場発の働き方改革案をプレゼンテーションするプロジェクトの「新世代エイジョカレッジ(エイカレ)」において、2019年2月に開催されたサミットで大賞に選ばれた。5人のメンバーに話を聞きました。

MRは担当制という常識を疑うところからスタート

白河桃子さん(以下敬称略) エイカレは私も審査員として毎回とても楽しみに参加しています。サミットで栄えある大賞に選ばれたのが、中外製薬でMRとして活躍する皆さんでした。受賞おめでとうございます!

一同 ありがとうございます!

白河 エイカレが立ち上がった背景に「営業職女性の9割が入社10年以内に営業という仕事を辞めてしまう現状を変えたい。長時間労働に頼らない働き方を創出していこう」という課題意識がありました。5期目となる18年は、「破壊と創造」をテーマに137人のエイジョたちが「当たり前」を疑い、次世代の営業モデルとマネジメントの創出を目指して競いました。皆さんがどのような働き方のモデルを発信したのか、その議論のきっかけとなった問題意識も含め教えてください。

小林真由さん(以下敬称略) 私たちが提案した次世代営業モデルは、「コンシェルジュ型営業」です。MRは医師に医薬品の情報を提供する製薬会社特有の営業職で、1人のMRが1人の医師を定期的に訪問して面談の時間をいただく「担当制」が、業界の常識でした。1対1の信頼関係を築くことが営業力につながると長らく信じられてきたのですが、「この担当制という当たり前は本当に必要なの?」という疑問の声が上がったことが、議論の出発点になりました。

白河 クリニックの診察時間のお昼休みや終わり際に来て、資料を抱えてスーツ姿でじっと立って待っている人、よく見かけますよね。医師の業務が落ち着いてからやっと営業の仕事が始まるわけなので、予定が立てづらく、どうしても長時間労働が常態化することになります。でも、それが長らく当たり前になっていると、疑問にさえ感じなくなるものだと思うのですが、なぜ課題として目をつけたんですか。

MRは本当に必要とされているのか?

小林 まずは「働き方の当たり前を全部書き出してみよう」と、皆で出し合うことから始めました。おっしゃるような、業務時間の中に組み込まれる長い「待機」の時間や、平日夜に医師向けに開催する研究会の対応で、どうしても長時間労働になりがちだという問題意識はすぐに共有されました。でも、単純に「労働時間を短くする」ためのアイデアはすでに他社からも発案されていたので、より本質的で新しい視点での課題解決に取り組みたいという思いがありました。そして議論を重ねるうちに、「そもそも、私たちの仕事は必要とされているのか」という根本的な問いが浮上してきたんです。

白河 それはとても大きな問いですね。自らの価値を問うのは勇気がいります。なぜそう感じたのですか。

小林 医薬品の情報提供にまつわる環境が変化する中、医療業界と製薬会社の関係も変化してきていますので、「MRという職種に期待される役割そのものが変わってきているのでは?」という危機感はもともとありました。実際、「MR不要論」という言葉は近年でよく聞かれるようになり、私たちがよかれと思って日々取り組んでいる仕事そのものが顧客に喜ばれているのかどうか、ゼロから問い直す必要があるんじゃないかなと。そこで、まずは業界全体の現状理解を深めるために、MR資格を取得するための試験を統括している「MR認定センター」へ取材に行きました。

白河 「MR不要論」とは、当事者からすると衝撃的な言葉ですよね。実際、数は減っているのですか。

小林 はい。認定取得状況を聞くと、13年をピークに以後4年ほどで6000人ほど減っているとのことでした。製薬業界全体でより筋肉質な組織改革が進んでいることもあって、これからもさらにMRの数は減っていくだろうと言われています。

白河 医師の働き方改革が進んでいることも影響していそうです。MRに会って情報提供を受ける時間が、医師の勤務時間に入らなくなるという業界の危機感もあるとか。「自分たちの仕事の役割を変えないといけないかもしれない」と、現場で明らかに感じる変化はありますか。

斎藤真美さん(以下敬称略) 医師とのアポイントの規定がより厳格になりました。ドクターは多忙で予定も流動的なので、約束の時間を決めて訪問しても、その時間に会えないことのほうが多いくらいなんです。それでも待っていれば会える、というのが、従来の当たり前だったのですが、「待てば話を聞いてもらえる」という常識は通用しなくなってきました。

白河 エイカレの審査をしていて、特にここ数年は、営業職の女性たちが自ら「営業という仕事そのものがこのままでいいはずがない」と自己否定から根本的な改革に着手しようとする事例が増えてきたなと感じています。まさに皆さんがその例であるわけですが、なぜ「担当制という概念を壊そう」という答えに行き着いたのでしょう。

深沢明子さん(以下敬称略) 1対1の担当制の場合、顧客と関係性を築く歴史は担当者1人だけが抱える属人的なものになってしまうんです。異動で担当が替わるときに、引き継げる情報には限りがありますし、顧客と会社がつながる歴史がなかなか形成されにくいというジレンマがありました。

白河 そもそもMR1人で何人くらいの医師を担当するのですか?

斎藤純子さん(以下敬称略) 人にもよりますが、私は開業医を担当していて300軒ほどです。

白河 すごい数……。全部をまんべんなく回るのはとても無理ですね。

斎藤(純) 特に開業医の場合は事前にアポをいただけないことも多いので、足を使ってとにかく回ることが重視されます。だいたい1日10~15軒ほど回るのが通常です。

安藤千尋さん 引き継ぐ際にも、1週間で何百軒も引き継がないといけないこともあって、MR1人では顧客の情報を把握しきれないという課題もありました。

小林 過去のようにゴルフや会食の接待で顧客との関係強化をはかる機会を活用しづらくなったという事情もあります。

白河 11年に公正取引委員会が「過剰接待禁止」を定めたことによる経緯ですね。あれは業界に衝撃が走ったと聞きますね。

小林 そうであっても私たちは「医師から必要とされる営業」にならなければいけません。そのためには「提供できる情報の質」を高める必要があるんじゃないか。だったら、顧客がその時に欲しい情報を選べる仕組みを作ったほうがいいんじゃないか。そんな議論から、アイデアが集約されていきました。

深沢 そこで、新しい営業モデルを支えるツールとして作ったのが、「おしながき」です。MRがあくまで会社の窓口として、社内にいる様々なプロフェッショナルと医師をつないで多様なニーズに応える「コンシェルジュ」的な役割を果たすといいのではないかと考えました。

白河 「おしながき」とは、とってもユニークな名称ですね。これは実際に医師に渡して実証実験に使ったという「おしながき」ですね。拝見すると、本当にメニュー表のようなデザインで、親しみを感じます。

小林 製品政策や安全性といった専門分野の担当者や、エリア基幹病院の担当者、統括支店長といった上役など、医師に役立つ情報提供ができそうな社員の紹介を顔写真付きで掲載しています。「ご希望でしたらいつでもコミュニケーションがとれます」とご案内をすることで、メリットを感じていただければというねらいです。

私たちは基本的に医薬品の製造販売を行っている会社ですが、医薬品に付随する医療業界全般に関わる情報もたくさん持っているんです。そこにニーズの鉱脈があることは分かっていたので、「私たちがお伝えできること」を分かりやすく可視化してみたのがこの「おしながき」になります。

白河 「おしながき」には雰囲気が異なるパターンが2種類あるようですね。

小林 はい。心理学の「ソーシャルスタイル理論」を取り入れて、顧客のタイプに合わせて選べる2パターン(理論派・現実派タイプ/社交派・友好派タイプ)を試作しました。もともと当社では、営業にソーシャルスタイル理論を取り入れていこうという流れがあったので、社内の理解も得やすく、うまく活用できたという背景もあります。

(来週公開の後編では、コンシュルジュ営業を実現するまでの詳細とその実施結果、今後の展開などについてお伺いします。)

白河桃子
 少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。著書に「妊活バイブル」(共著)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著)、「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)など。「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「ハラストメントの境界線」(中公新書ラクレ)。

(ライター 宮本恵理子)

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