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付き合いよりも役立つ情報を 中外製薬女性MRの挑戦 中外製薬 チームCSK(上)

2019/6/11

白河 そもそもMR1人で何人くらいの医師を担当するのですか?

斎藤純子さん(以下敬称略) 人にもよりますが、私は開業医を担当していて300軒ほどです。

斎藤純子さん(入社4年目・北海道支店旭川オフィス所属・ゼネラル担当)

白河 すごい数……。全部をまんべんなく回るのはとても無理ですね。

斎藤(純) 特に開業医の場合は事前にアポをいただけないことも多いので、足を使ってとにかく回ることが重視されます。だいたい1日10~15軒ほど回るのが通常です。

安藤千尋さん 引き継ぐ際にも、1週間で何百軒も引き継がないといけないこともあって、MR1人では顧客の情報を把握しきれないという課題もありました。

小林 過去のようにゴルフや会食の接待で顧客との関係強化をはかる機会を活用しづらくなったという事情もあります。

白河 11年に公正取引委員会が「過剰接待禁止」を定めたことによる経緯ですね。あれは業界に衝撃が走ったと聞きますね。

小林 そうであっても私たちは「医師から必要とされる営業」にならなければいけません。そのためには「提供できる情報の質」を高める必要があるんじゃないか。だったら、顧客がその時に欲しい情報を選べる仕組みを作ったほうがいいんじゃないか。そんな議論から、アイデアが集約されていきました。

安藤千尋さん(入社7年目・メディカルアフェアーズ本部所属・オンコロジー担当)

深沢 そこで、新しい営業モデルを支えるツールとして作ったのが、「おしながき」です。MRがあくまで会社の窓口として、社内にいる様々なプロフェッショナルと医師をつないで多様なニーズに応える「コンシェルジュ」的な役割を果たすといいのではないかと考えました。

白河 「おしながき」とは、とってもユニークな名称ですね。これは実際に医師に渡して実証実験に使ったという「おしながき」ですね。拝見すると、本当にメニュー表のようなデザインで、親しみを感じます。

小林 製品政策や安全性といった専門分野の担当者や、エリア基幹病院の担当者、統括支店長といった上役など、医師に役立つ情報提供ができそうな社員の紹介を顔写真付きで掲載しています。「ご希望でしたらいつでもコミュニケーションがとれます」とご案内をすることで、メリットを感じていただければというねらいです。

私たちは基本的に医薬品の製造販売を行っている会社ですが、医薬品に付随する医療業界全般に関わる情報もたくさん持っているんです。そこにニーズの鉱脈があることは分かっていたので、「私たちがお伝えできること」を分かりやすく可視化してみたのがこの「おしながき」になります。

白河 「おしながき」には雰囲気が異なるパターンが2種類あるようですね。

小林 はい。心理学の「ソーシャルスタイル理論」を取り入れて、顧客のタイプに合わせて選べる2パターン(理論派・現実派タイプ/社交派・友好派タイプ)を試作しました。もともと当社では、営業にソーシャルスタイル理論を取り入れていこうという流れがあったので、社内の理解も得やすく、うまく活用できたという背景もあります。

(来週公開の後編では、コンシュルジュ営業を実現するまでの詳細とその実施結果、今後の展開などについてお伺いします。)

白河桃子
少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。著書に「妊活バイブル」(共著)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著)、「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)など。「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「ハラストメントの境界線」(中公新書ラクレ)。

(ライター 宮本恵理子)

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