付き合いよりも役立つ情報を 中外製薬女性MRの挑戦中外製薬 チームCSK(上)

2019/6/11

白河 それはとても大きな問いですね。自らの価値を問うのは勇気がいります。なぜそう感じたのですか。

小林 医薬品の情報提供にまつわる環境が変化する中、医療業界と製薬会社の関係も変化してきていますので、「MRという職種に期待される役割そのものが変わってきているのでは?」という危機感はもともとありました。実際、「MR不要論」という言葉は近年でよく聞かれるようになり、私たちがよかれと思って日々取り組んでいる仕事そのものが顧客に喜ばれているのかどうか、ゼロから問い直す必要があるんじゃないかなと。そこで、まずは業界全体の現状理解を深めるために、MR資格を取得するための試験を統括している「MR認定センター」へ取材に行きました。

斎藤真美さん(入社9年目・北海道東北支店 岩手オフィス所属・オンコロジー担当)

白河 「MR不要論」とは、当事者からすると衝撃的な言葉ですよね。実際、数は減っているのですか。

小林 はい。認定取得状況を聞くと、13年をピークに以後4年ほどで6000人ほど減っているとのことでした。製薬業界全体でより筋肉質な組織改革が進んでいることもあって、これからもさらにMRの数は減っていくだろうと言われています。

白河 医師の働き方改革が進んでいることも影響していそうです。MRに会って情報提供を受ける時間が、医師の勤務時間に入らなくなるという業界の危機感もあるとか。「自分たちの仕事の役割を変えないといけないかもしれない」と、現場で明らかに感じる変化はありますか。

斎藤真美さん(以下敬称略) 医師とのアポイントの規定がより厳格になりました。ドクターは多忙で予定も流動的なので、約束の時間を決めて訪問しても、その時間に会えないことのほうが多いくらいなんです。それでも待っていれば会える、というのが、従来の当たり前だったのですが、「待てば話を聞いてもらえる」という常識は通用しなくなってきました。

深沢明子さん(入社13年目・関東南支店多摩オフィス所属・ゼネラル領域 開業医担当)

白河 エイカレの審査をしていて、特にここ数年は、営業職の女性たちが自ら「営業という仕事そのものがこのままでいいはずがない」と自己否定から根本的な改革に着手しようとする事例が増えてきたなと感じています。まさに皆さんがその例であるわけですが、なぜ「担当制という概念を壊そう」という答えに行き着いたのでしょう。

深沢明子さん(以下敬称略) 1対1の担当制の場合、顧客と関係性を築く歴史は担当者1人だけが抱える属人的なものになってしまうんです。異動で担当が替わるときに、引き継げる情報には限りがありますし、顧客と会社がつながる歴史がなかなか形成されにくいというジレンマがありました。