オール私立は2300万円 大学卒業まで教育費どう確保

日経トレンディ

2019/6/12
子供が望む進路選択で教育費は大きく変わってくる(写真はイメージ=PIXTA)
子供が望む進路選択で教育費は大きく変わってくる(写真はイメージ=PIXTA)
日経トレンディ

子供が希望する学校に通わせたり、勉強する機会を与えたりするためには、それだけのお金が必要になる。高校卒業者の約7割が大学・短大・専門学校に進学する現在。教育費をいかに用意するかは、親世代の大きなテーマだ。実際にいくらかかるのか、だからどうすればいいのか──。幅広く情報を仕入れ、将来困らないための準備を進めたい。

親としては、子供が望む勉強や将来の職業の選択肢をあえて狭めることはしたくない。「○○高校の合格を目指して学習塾に通いたい」「将来は△△の仕事に就きたいから、その分野に強い大学に進みたい」といった子供の希望を、「お金が厳しいから」と拒むのは、子供が持つ大きな“可能性”を潰すことになりかねない。そうしないためには、早めの時期から計画的に教育費を準備しておくことが大切だ。

「うちは毎月の収入で教育費を賄っていけそうだから、大丈夫」と油断してはならない。子供が高校や大学に通う時期は、親にとっても自分の現役時代が残り少ない時期に当たる。そんなときに毎月の収入だけで教育費を賄おうとすれば、自分たちの老後資金づくりはままならず、老後破綻に一直線だ。

教育にかかる費用は、授業料などの「学校教育費」に加えて、塾や習い事などの「学校外活動費」もあり、これが結構な負担になる。下図は、小学校、中学校などの各段階でかかる平均的な1年間の費用を示したもの。まずは、今後に必要となる教育費のイメージをつかむのが、第一歩だ。

注)高校までは「子供の学習費調査(平成28年度)」、大学は「学生生活調査(平成28年度)」に基づく。便宜上、高校までの学校教育費は学校給食費を含めた金額で記載

見てわかるように、それぞれの段階で公立を選ぶか、私立を選ぶかでかかる費用は大きく変わり、小学校から大学までの16年間の総額にも結構な差が出る。

オール私立の場合、教育費の総額は2000万円を超える。特に、小学校では公立と私立との差が大きい。中学校や高校から私立に進む、都市部でよくあるパターンでは、約1100万円(高校から私立、大学は自宅通学)~1600万円(中学から私立、大学は下宿)がかかる。小学校からオール国公立の場合でも、1000万円近くは必要だ。大学のデータは学部を問わない平均値なので、理系はこれより高く、6年制の医歯薬系はさらに負担が増す。



小学校~大学の各段階の年間費用を基に、16年間トータルでかかるパターン別の教育費を試算したのが上グラフ。オール私立の場合、大学が自宅通学でも2000万円を超え、下宿生では約2300万円に達する。オール国公立や大学だけ私立のパターンでも1000万円前後は必要になる。

「中・高は公立」と親が考えていたとしても、子供は私立の中高一貫校や私立高校の受験を望むかもしれない。高校生の子が、費用の高い大学・学部や自宅から通えない大学への進学を希望する可能性もある。そうした想定外の事態に直面してから、「さて困ったぞ、という保護者が実際多い」とファイナンシャルプランナー(FP)の菅原直子氏は指摘する。中学校で膨らみがちな塾や習い事の費用や、高校3年時に負担が急増する大学受験関連費用などにも対応する必要がある。

「親の責任として、子供が大学に進める程度の資金はとにかくためようという姿勢が大事」(菅原氏)だ。

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