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ジャガーEV 俊敏に走る都会派SUV 問題は充電環境

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英国の高級車ブランド「ジャガー」が2018年9月に発表した電気自動車(EV)「I-PACE(Iペース)」。日本でも今春から納車が開始されているジャガー初のEVに大音安弘氏が試乗した。

◇  ◇  ◇

現在、日本で購入でき、充電した電気のみで走る乗用車の「バッテリーEV」(BEV)は数少ない。国産車は日産リーフと三菱iMiEV。輸入車はI-PACE以外だと、テスラのモデルS及びモデルX、BMW i3、そしてVWのe-ゴルフしかない。テスラは、自動車メーカーとしての実績は浅く、BMW i3とe-ゴルフは、実用性も考慮したコンパクトカーであることを踏まえると、日本市場に伝統的な高級車ブランドがEVを送り込んだのは、I-PACEが初といってもいいだろう。

ジャガーのSUV(多目的スポーツ車)に与えられる「PACE」という名前からも分かるように、ジャガーはI-PACEをSUVに分類している。前後に2つのモーターを備える4WD車となっており、滑りやすい路面にも対応可能なシステムを備えているが、4ドアクーペ風のスタイルからも、街乗りからレジャーまでをカバーする「都会派SUV」と理解した方がキャラクターはわかりやすいだろう。

ボディーサイズは、全長4695mm×全幅1895mm×全高1565mm。サイズが近いのは、トヨタ・ハリアーで、それよりも、ややワイド化され、全高を抑えたイメージだ。一見、SUVらしくないのもこのワイドな車幅と低い全高の効果といえる。スタイリングはかなりモダンでスポーティー。それもそのはずで、デザインモチーフとなったのは、「C-X75」というスポーツカーのコンセプトなのだ。

風格ある大きなフロントグリルと薄型のヘッドライトのフロントマスクは新世代ジャガーと共通するモチーフ。インテリアも新世代ジャガーと共通性を持たせたデザインとなるが、液晶メーターパネルに加え、ダッシュボード中央のインフォメーションシステムにも10インチと5インチの2枚のタッチスクリーンを備えた近未来的な雰囲気が漂う。インテリアパネルやシートなどの装飾は、他のジャガー同様に、肌触りが良く温かみのある高品質な天然素材をぜいたくに使い、作りこまれている。

航続距離は400km以上

EVのパワートレインは全車共通仕様だ。前後それぞれに高出力モーターを装備した4WD車で、最高出力400ps、最大トルク696Nmを発揮する。その実力は、0~100km/h加速が4.8秒と、なかなかの俊足だ。

キャビンの下に搭載されるリチウムイオン電池の容量は、90kWhと大型だ。航続距離は438km(WLTCモード)。充電方法は、最大7kWの200V普通充電と急速充電(CHAdeMO規格)に対応する。普通充電で0~100%まで充電すると約12.6時間(7kWの場合)。日本での一般的な50kWの急速充電なら0~80%まで充電するのに約85分となっている。

今回、試乗したのは、エアーサスペンション付きのファーストエディション。導入記念の特別仕様車で、最上級グレードHSEに、様々なオプション装備を追加している。一番驚いたのがタイヤ。22インチホイールと組み合わされた255/40R22という巨大なタイヤを履いていた。

乗り込んでみると、車内は前後席共にかなり広々としている。最低地上高が142mmにとどめられているので、前後ともに乗り降りもしやすい。試乗車のルーフは、天井がまるまる固定ガラスとなった「固定式パノラミックルーフ」という仕様で、後席からしっかりと頭上が見える。これで夜の都市部をドライブしたら、さぞロマンチックだろう。

曲がる、止まるにジャガーらしさ

スタートボタンを押す。当たり前だが無音だ。メーターの表示が、発進可能であることを知らせてくれる。シフト操作はボタン式。これもジャガー初だ。アクセルを踏むと、スムーズに発進し、スルスルと加速していく。

モーターはレスポンスに優れるので、アクセル操作は丁寧に行うのが原則だ。ただ合流や追い越し時などは、アクセルを強く踏み込めば、音もなく俊敏な加速を見せる。アクセルを離すと回生ブレーキが働き速度が減速するなど、アクセル操作だけでクルマとの一体感を感じられるのはEVならでは。AT車のようなクリープの有無と回生ブレーキの強弱も選べるので、自分の好みに合わせることもできる。

運転フィールは、加減速に関してはEVらしさを感じるが、曲がる、止まるといった感覚は、他のジャガー同様に自然なフィールだ。カッコいいが乗り心地には心配があった22インチタイヤも、高剛性ボディーとエアサスの貢献もあって問題なし。快適な乗り心地だった。もしノーマルのバネサス車を選ぶなら、タイヤの硬さによる突き上げを抑えるために、標準装備となる18インチや20インチにとどめておく方が良いかもしれない。

また個人的には、回生ブレーキの調整がより細かくでき、パドルシフトなどでエンジンブレーキのように使えるとうれしいと思った。

問題は日本の充電インフラ

I-PACEに試乗してみて、感じたのは、EVらしさを強調するのではなく、より走りのスムーズさを重視しているという姿勢だ。実際、運転中も良い意味でEVであることを意識せず、他のエンジン車の高級車と比較している自分がいた。

EVだけど、過度にEVらしさを演出しない。これも歴史を持つ高級車ブランドのプライドではないのだろうか。正直、エンジン車から乗り換えても違和感がないEVだと思う。航続距離が438kmと長めとなる点も重要だろう。

このようにI-PACEは、単純に乗用車として捉えても、かなり魅力的だ。モダンなスタイルは、個性的でクール。バッテリーなどのシステムから高価となるEVだけに、価格が959万円からとなるが、エントリーグレードの「S」でも装備は充実している。価格に納得できれば、ユニークなスタイルと未来的なコックピット、ボディーサイズを超えた広々した車内、静かで快適に移動しながらも環境負荷が抑えられるなど、先進的な高級車を所有しているという満足感が得られるはずだ。

実際にI-PACEを買おうかどうか考えたとき、最大の問題となるのは、クルマではなく、充電インフラではないか。EV全体で駆動バッテリーの大型化が進む今、日本の急速充電器(CHAdeMO規格)の出力では物足りなくなってきている。しかも一般的な充電の制限時間として設定されるのは30分間。これではバッテリーを80%まで回復するのは難しく、ロングドライブする場合はこまめに充電を繰り返す「ちょい足し充電の旅」となってしまうだろう。

しかも急速充電器の中には、現状システムの最大出力となる50kWまで出力が出ていないものも多く、たとえ充電できても想定よりも充電量が少ないという事態もあり得る。さらに急速充電器の設置は増えているものの、ほとんどの設置場所は一基が基本。先客がいる場合、最大30分間、その場で待つかバッテリー残量を気にしながら次の充電所まで向かうことになる。

とはいえ、自宅に普通充電器を設置し、自宅周辺や多用する出先付近に急速充電器があるならば、充電に対するハードルはぐっと下がる。使用環境がマッチすれば、EVも未来の乗り物といえない状況にはなってきているのも確かだ。またカーナビでは、充電器の設置場所を検索することもできる。

世界的な環境政策もあり、冒頭に「数少ない」と書いたEVの選択肢は、今後、続々と増えていくことだろう。例えば、メルセデス・ベンツは、年内に、初のBEVとなる「EQC」の日本投入を予告している。ただ日本では、そのスピードにインフラの充実が追いついていないのが現実。しばらくは、クルマは気に入ったけれど環境のせいで購入に二の足を踏むという人も多くなりそうだ。

しかし、それを踏まえても、I-PACEは「もっと乗ってみたい」という感情を呼び起こしてくれた。今後登場するEVが単なるエコカーではなく、クルマ好きの心を引き付けるEVであることへの期待が膨らむ。

自動車の電動化は、環境施策の点ばかりがフォーカスされるが、車両が高価な分、ユーザーの期待が大きいのも確か。また今後もテスラのような新規参入も予想されるだけに、自動車メーカーもプライドをかけて開発に取り組んでいる。多くの人が想像する以上に、EVは我々に新たな楽しみをもたらしてくれるかもしれない。

大音安弘
 1980年生まれ、埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在は自動車ライターとして、軽自動車からスーパーカーまで幅広く取材している。自動車の「今」を分かりやすく伝えられように心がける。

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