小島瑠璃子 グランプリのご褒美は母のネックレス
バラエティー番組などで、明るい笑顔と機転の利いたコメントが多くの人をひき付けている小島瑠璃子さん。テレビで見ない日はないほどの活躍ぶりだが、すべては2009年の「ホリプロタレントスカウトキャラバン」で約3万4千人のなかからグランプリに輝いたことから始まった。コインが付いた金のネックレスは、それ以来肌身離さず身に着けているラッキーチャームだという。
「グランプリ取ったらご褒美にあげる」が現実に
このネックレスは、15歳のときに母からもらったもの。お仕事で外さなければならないとき以外は、ずっと身に着けています。「ホリプロタレントスカウトキャラバン」のオーディションの際に、お守りとして母から借りたのがきっかけでした。母がずっと身に着けていたもので、素敵だなって憧れていたんです。それを知っていた母は、冗談半分に「ないとは思うけど、グランプリを取ったらご褒美としてあげる」と約束してしまったんですね。結果、運よくグランプリに輝いたので母はあげざるを得なくなって(笑)。
そもそもこのネックレスは、母が自分の母親、つまり私の祖母から贈られたもの。母は3姉妹で、3人とも同じものを持っていて、今はその娘たちが受け継いでいるんです。そんなストーリーもある大事なものだから、自分のものになったときはとてもうれしかったです。私もいつか娘ができたら譲る日が来るのかな、なんてことも考えたりします。
今回、「私のモノ語り」のお話をいただいて、私にとって大切なものって何だろうと改めて考える面白い経験になりました。今って、物が飽和している一方でどんどん少なくもなっているのかなって思うんです。データ化されたり、ミニマリストのような生き方が注目されたり。
私はあまり流行を追うのが得意じゃなくて、靴やバッグも同じものをずっと使うことが多いんです。最先端のもの、話題のアイテムよりは、どんなものにも合わせられる上質なTシャツやデニムに出合えたときのほうがときめきます。
きっとこれは、母の育て方の影響でしょうね。母は倹約家で、長く使えるものしか買いませんでした。小さいころは人並みに「これほしい」「あれほしい」と駄々をこねることもありましたが、母はがんとして聞いてくれませんでした。今思うと、大人からすれば買ってしまったほうが楽だったりすることもあると思うんですよ。でも、母は絶対にその場の衝動で買うことを許しませんでした。
母がよく言っていたのは、どんなに欲しくてたまらないものができて、金銭的に買えるとしても、その日は買わずに家に帰りなさいということ。家に帰ると案外気持ちが収まってしまうこともありますし、それでも頭に浮かんでしまうくらい欲しいものであれば買ってもいいと。その教えが身に沁みついているから、長く使い続けられるものだけを悩みぬいて買うようになりました。厳選されたものだから、大切に使おうという気持ちにもなりますし。
どんなものにときめくか、ですか? 難しいですが、「これって一生ものだな」と思えるものに出合えたときでしょうか。流行に左右されないデニムやシャツもそうですし、私にとっては趣味のダイビングもそうですね。
吹奏楽部で猛練習の小中時代
あと、「音楽」は身近ですし、ずっとときめくもの。幼稚園でピアノを習い始め、小学4年生からは吹奏楽部に所属し、トランペットをきゅっと小さくしたようなコルネットを吹き始めました。私の住む地域は部活動がとても盛んで、今では考えられないくらいスパルタ式で練習していましたね。中学になっても吹奏楽部を続けたんですが、そこではテナーサックスを担当。見た目がかっこいいので志望者は多いんですが、中学生がストラップで首から下げるにはけっこう重たくて。マウスピースを下唇や歯で固定して演奏するので、初めのうちは唇の皮がむけて、結構痛い思いもしました(笑)。
同じ時間を過ごしてきた仲間がいたから頑張れたし、大変だなと思うことはあっても辞めたいと思ったことはなかったです。今も吹奏楽部のメンバーとは仲がいいですし、宝物です。なんだか、懐かしくなってきちゃいました……。
今気になる「もの」はガーデニング用品。数年前までは日々忙殺されていましたが、だんだんと自分なりの気分転換法を見つけられるようになってきて。その一つに、友達との旅行があります。あるとき、屋久島へ行ってみんなでコケ玉を作ったんですが、コケは水分がないと枯れてしまう。なので、毎日水やりを欠かさずにいたらそれが習慣になりました。一緒に行った友達全員枯らしてしまったらしいので、私のコケ玉は死守したいなと。その延長線上でガーデニング用品が気になるようになりました。
母は畑で野菜を育てるくらい、植物を育てるのが好きだし得意。母から知識を少しずつ受け継ぎながら、ガーデニングを楽しみたいですね。
演奏経験者だからわかる驚きの演奏レベル
小島さんは、この夏開催される「ブラスト!:ミュージック・オブ・ディズニー」のスペシャルサポーターに就任。学生時代に昼夜問わず練習に打ち込んできた吹奏楽をもとに創られたエンタテインメントショー「ブラスト!:ミュージック・オブ・ディズニー」は、小島さんの目にどう映るのだろう。
実際に聴かせていただいて、まず演奏の素晴らしさに度肝を抜かれました。吹奏楽部では全体の調和を醸すために、各パートは「丸い音」を求められるんです。丸みのある柔らかな音を出そうとすると、どうしても音圧が下がってしまうのですが、『ブラスト!』は、どんなに大きな音でも音が尖らない。だから、音圧が高くても耳にキンキンしない、痛くないんです。
それでいて、管楽器は華やかな音が特徴でもある。クラシックほど堅苦しさもないですし、小さいお子さんが初めて本物の音に触れるのにぴったりだなって。ディズニー映画の名場面などを演奏とリンクさせていて、視覚的にも楽しめる仕掛けがたくさんあります。音楽が好きな方はもちろん、あまり生の演奏を聴く機会がなかった方もきっと楽しめるんじゃないでしょうか。
私はディズニーランドがある千葉県出身なので、ディズニーの楽曲もずっと身近でしたから、「ブラスト!」を聴いている間もワクワクし通し。映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」のテーマ曲は、私も学生時代によく演奏したので、もしメンバーに交じって演奏することができたら……と夢想もしました。世界一流のレベルなので、かなり遠そうな夢ですね(笑)。
1993年12月23日生まれ、千葉県出身。情報番組「サタデープラス」、バラエティー番組「ヒルナンデス」など多数のレギュラー番組を持つ。スポーツ番組のキャスターを務めた経験などから、19年9月より国内で開催される「ラグビーワールドカップ2019」の期間中は、日本テレビ系列の応援マネージャーとして大会を盛り上げる。
ブラスト!:ミュージック・オブ・ディズニー
トニー賞を受賞した「ブラスト!」と、世界中で愛されるディズニーを彩る音楽が融合し、日本でも延べ125万人を動員した人気のショーが再臨。60種類以上の楽器を操り、高いスキルによる迫力のある演奏で魅了するだけでなく、旗やバトンを持ちながら華麗に踊るダンサーや映像など視覚でも楽しめる。
(文 橘川有子、写真 藤本和史)
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