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コロンビア、「自転車天国」が生み出す穏やかな午後

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

南米アンデスの高地に位置するコロンビアの首都ボゴタ。平日には160万台の自家用車、5万台のタクシー、9000台のバスがごった返す騒々しい街は、毎週日曜日と祝日に様変わりする。市民のものになるのだ。画期的とも言える文化を、写真で紹介しよう。

◇  ◇  ◇

この奇跡をもたらしたのが「シクロビア(自転車道)」だ。日曜日と祝日の午前7時から午後2時まで、ボゴタの大通りとハイウェイが広範囲にわたって、すべての人に開放される。自転車、ローラースケート、キックスケーター、車椅子、スケートボードなど、動力を使わなければ、どんな乗り物もOKだ。

シクロビアに変わる道路は全長120キロ余り。国勢調査によると、日曜日には150万人ものボゴタ市民が自転車などの乗り物で街に繰り出すという。もちろん、のんびり歩いても構わない。

食べるのも自由、踊るのも自由、人間観察するのも自由だ。上流階級が暮らすセプティマ・ノルテ・エリアでは、多くの人が歩道沿いのカフェでゆったり過ごしている。椅子の下では犬がくつろぎ、横にはベビーカーが置かれている。その近くでは、カポエイラ(格闘技とダンスが混じった南米文化)のグループが練習を行い、太極拳教室の生徒たちがゆっくり空気を押しのけている。

シクロビアのあちこちに「レクロビア」と呼ばれるレクリエーション・スペースがある。あるレクロビアではほぼ毎週、ズンバ(コロンビアのダンス・エクササイズ)のレッスンの後、サルサバンドの素晴らしい演奏が始まる。

「最も重要なのは、シクロビア(を利用する人々)が生み出す社会構造です」と、シクロビア・プログラムの運営に携わっているビビアナ・サルミエント氏は話す。「シクロビアは自動車が人に道を譲る時間です。私たちの目的は、街の公共空間を市民のものにすることです」

アイデアはどうやって生まれた?

今では世界中の都市計画者や先進的な政治家がシクロビアを取り入れようとしている。しかし、何十年も内戦が続き、都市の規律を欠く国の首都から、どのようにしてこのアイデアが生まれたのだろう?

1976年、特に富裕層が暮らす地域では、歩道に乗り上げて駐車する人が大勢いた。信号機にいたっては、無視するのが当たり前のような状態だった。そのような時代に、ある市民グループが日曜日の自転車道という前例のない試みを提案し、ロビー活動を行ったのだ。

「自転車はそれまで、薬の配達くらいにしか使われない乗り物でした」とポール・ブロムバーグ氏は振り返る。「しかし、日曜日の自転車道が提案されたとき、ちょうど健康意識が高まるとともに、若者層が台頭しつつありました。だから、このアイデアが受け入れられたのです」

20年後、ブロムバーグ氏はアンタナス・モックス市長のもと、市民文化を担当することになった。市長は教育と文化を通じて、博識で行動的な市民を育てようとした。紆余曲折を経た後、日曜日の自転車道を現在のシクロビアに生まれ変わらせたのがモックス氏だ。封鎖された道路を自転車で走るだけでなく、道路脇で起きるレクリエーションも重視される、穏やかな「自転車天国」となった。

階級社会でも、シクロビアは平等主義

「正直に言うと、私の目当ては食べ物です」と、ある若い女性はボヤカ・ノルテ・エリアの屋台の前で語った。ここで売られているのは、焼きトウモロコシとトウモロコシのパン、アレパ。アレパにはその場で様々な具材をはさんでもらえる。すぐそばの屋台では、搾りたてのオレンジジュースが売られている。コーヒーやホットミルク、「アグアパネラ」(黒砂糖を溶かしてつくる飲み物)を売り歩く人もいる。

中流階級と労働者階級が暮らすこのエリアでは、庶民的な食べ物がいろいろ売られているだけではない。ここではズンバ教室に、200人を優に超える人たちが集まってくる。何かのオーディションかと思うほど、彼らはコロンビアのサルサやクラシックに合わせ、インストラクターにダンスを披露している。

コロンビアは階級社会だが、シクロビアは平等主義だと、サルミエント氏は話す。「着ている服や社会階級など誰も気に掛けていません。すべての人が歓迎されていて、すべての人が平等です」。ズンバ教室のそばに止められた自転車を見れば、それがよくわかる。さび付いたガタガタの自転車と、高級そうな自転車が並んでいる。

ブロムバーグ氏やモックス氏のシクロビアは都市の概念を変えたと言うこともできる。ニュージーランドからヨーロッパ、中国にいたるまで、世界中の市長や都市計画者がシクロビアを導入し、さらに、日曜日を心待ちにしている人々の考え方も変わった。筆者はシクロビアで取材した人々の穏やかさに感銘を受けた。人々は筆者を信頼し、電話番号を教えてくれた。声を荒らげる人やけんかする人を見かけることもなかった。

サルミエント氏も「行動の変化が起きています」と言う。「普段は警官に注意されると、皆が(好戦的に)反応します。しかし、日曜日になると、人々は警官に従います。日曜日になると、市民が寛容になるのです」

太陽が降り注ぐ日曜日の午後は、まさにそのような雰囲気だった。2019年3月、現代のシクロビアは25周年を迎えた。筆者の目の前には、シクロビアによってつくられた平和な世界が広がっている。

次ページでも、ボゴタの生活と切り離せないシクロビア文化を写真で紹介しよう。

(文 ALMA GUILLERMOPRIETO、写真 JUAN CRISTİBAL COBO、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2019年4月30日付記事を再構成]

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