長くても30分前後、短ければ1分ほどの「ショートフィルム」を上映する国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」。日本で開かれるシネマの祭典で2019年、新しい試みがスタートしました。女性の監督・プロデューサーらの作品を特集し、応援しようという「Ladies for Cinema Project」です。プロジェクト・プレゼンターとして上映作品の選定、情報発信を担う女優の木村佳乃さんは「多くの方に作品を見ていただけたら。そして、映画界でもっと多くの女性が活躍できるようになれば」と目を輝かせます。
映画祭のオープニングセレモニーで舞台に登壇した木村さんは、笑みを浮かべながら「たくさんの作品を拝見し、多くの発見がありました」と切り出しました。国籍が異なる、宗教が違う。様々な背景を持つ女性たちが作り上げた作品群を鑑賞し、全く知らなかった問題に気づかされたと話します。と同時に、文化は違っても「同じ悩みを抱えていて、共感できることもありました」。本当に勉強になったと続けました。
インタビューでも、プレゼンターとしての意気込みが現れます。英国で生まれ、多感な時期に米ニューヨークで過ごした経験から「文化や習慣が異なると、理解するまでに時間がかかることがあります」と実感するそうです。だからこそ、映画を通して観客、とりわけ女性が「様々な悩みや問題を知ることはすてきだと思います」。新プロジェクトで上映するのは6作品です。「ショートフィルムはちょうど良い長さ。エピソードもそれほど多くなく、シンプルで見やすいですよ」と魅力を伝えます。
さらに、映画界で女性のクリエーターがもっと登場してほしい、と願います。「俳優という仕事は昔から男女平等です。母親役など女性が必要とされる枠が必ずありますから。ところが、クリエーターは圧倒的に男性です。私のデビュー当時は本当に少なかったですね。今はかなり増えてきましたが、まだまだ。もっともっと活躍できるはずです」。立ちはだかる壁とは何か、どのように対応すればいいのかなど、考えなければならない課題は残っています。「女性の社会進出そのものが難しい国もあります。けれど、日本はそうではありません」。だからこそ、このプロジェクトを一緒に盛り上げ、ずっと応援していきたいと力を込めました。
女優として20年以上第一線で活躍してきた木村さん。映画、テレビ、舞台と輝きを放ち続けています。最近はシリアスな役はもちろん、バラエティー番組では体を張って笑いを取ることも見かけます。なぜそこまで? 「やりたいと思い、挑戦しているだけです。自分を止められるのは自分だけ。成長を諦めるかどうかは、自分で決めることです」。このぐらいでいいと上限を、できる範囲を決めてしまうと、そこから飛び出せなくなると強調します。