Men's Fashion

横浜のダンディーな先人 スタイル受け継いでいく

リーダーが語る 仕事の装い

キタムラ社長 北村宏氏(下)

2019.6.7

港町・横浜は戦前から貿易が盛んで、バッグのキタムラがある元町は外国人向けの商店街として栄えた。北村宏社長の周囲には、かっこよさを絵に描いたような「ヒーロー」が何人もいた。しぐさ一つにもダンディズムがにじみでる彼らに影響を受けて、北村社長も個性を踏まえた自分流のスタイルを心がける。「着飾る必要はない。自分の特徴をアピールするファッションを見いださないといけない」。男性が考えるべき北村流コーディネートの秘訣を明かす。

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■素足に靴、石田純一さんより先にやっています

――素足にクロコダイル(高級皮革)のタッセルシューズ。足元に目がいきます。

この日は素足にクロコダイルの高級スリッポン。「素足に靴、は石田純一さんより早いよ。たまにはこういう遊びもないとね」

「素足に靴、は(俳優の)石田純一さんより先にやっていますが(笑)、昔からヨットに乗っている人にとっては普通だよ。靴はうちのオリジナルのオーダー品。クロコの1枚革で24色そろうのはめずらしいんです。社内の反対を押し切ってつくりました。スーツの時は靴下をはきますが、きょうはジャケットとパンツですから軽さを演出しました。パンツはユニクロ。クロコの靴とユニクロを合わせるのが面白いんだな」

――ユニクロを着られるとは意外です。

「良い、といわれたものはすべてトライします。あれだけ売れているのはなぜなのか知りたい。以前、ある百貨店にユニクロのシャツを着ていったらメンズの担当者が『すばらしいですね、エルメスですか』だって。勉強していないですよね」

「エルメスもトム・フォードも一流ブランドはたくさん試した。だからユニクロの良さもわかります」。最近購入したというユニクロのパンツ

――横浜は外国人文化に磨かれた土地です。社長自身も西洋のファッションの影響を早くから受けたのですか。

「キタムラは140年の歴史があり、私は会社に入って50年。横浜には一流のものを売る店がいまでもたくさんあります。僕が若いころブリオーニやキートンをいち早く着たのは、日本で初めての洋品店、信濃屋さんが扱っていたから。信濃屋の白井俊夫さんはメンズファッション業界の重鎮で、ものすごく洒脱(しゃだつ)な人で目利きです。いいものが入ると連絡してくれるので、つい買ってしまう」