米中貿易戦争でも日本のお家芸で生き残れ(苦瓜達郎)三井住友DSアセットマネジメントシニア・ファンドマネージャー

「技術に市場が追いつく」と言っても分かりにくいかもしれません。格好の例が最近の次世代通信規格「5G」用携帯電話です。5Gでは高い周波数の電波を利用します。信号の損失を避けるため、従来の携帯電話で使われていた多くの材料が使えなくなりました。

5G向けで拡大する用途

一方、日本の多くの電子材料メーカーは多くの高周波向け素材を開発してきましたが、これまでは特殊な分野にしか用いられませんでした。それらの素材が、今後はスマホを筆頭とする非常に大きな市場で利用されるシナリオが考えられるのです。

5G自体が広く利用できるようになるにはかなりの時間が必要でしょうが、少なくとも今年後半から来年に発売される携帯メーカー各社の旗艦モデルに関しては、5G対応のため新素材が活用されるでしょう。

顧客ニーズへの対応という面では、近年は特定顧客向けの開発案件が増えてきたと感じています。半導体やスマホなどの分野で勝ち組企業が絞り込まれてきたことを背景に、一般的な品質向上だけでなく、特定顧客の開発ロードマップに沿って開発を行うことが、自らも勝ち組であり続けることの必要条件になってきているのです。

投資家に新たなチャレンジ

この点は我々投資家にとっては困難が増す展開です。守秘義務の関係もあり、企業側から開示される情報はきわめて限られます。それでもまだ「iPhone」のような大型商品への採用であれば、事後的にタイミングや金額で推測することも可能で、村田製作所や太陽誘電、TDKなどが「iphone関連銘柄」として取り上げられるのはご承知の通りです。

しかし、それが数年後の発売を見据えた技術開発への素材供給となると、それが何むけなのか、そもそも誰むけなのか……、我々プロの投資家としてもほとんどは想像によるしかありません。

そして最近さらに加わった難題が、特定顧客向け素材のなかに「あの会社向け」があるのでは、という点です。そう、中国の華為技術(ファーウェイ)向けです。しかし直接取材しても情報は限られており、そもそも同社を巡る展開に関し、誰一人確かな予測を立てられる人はいません。ファンドマネジャーとしても、自分の保有している企業のファーウェイ関連案件ができるだけ悪影響を受けないよう、祈るばかり。投資家もまた、新しい方法論が必要な時代かもしれません。

プロのポートフォリオは運用に精通したプロが独自の視点で個人投資家に語りかけるコラムで、原則火曜日掲載です。
苦瓜達郎
三井住友DSアセットマネジメントシニア・ファンドマネージャー。1968年生まれ。東京大学経済学部卒業後、91年大和総研入社。アナリストとして窯業やサービス業の担当を経て中小型株を担当。2002年に当時の大和住銀投信投資顧問入社。中小型株ファンドの運用に携わる。
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