午後2時でも退社OK 働き方改革「元祖」の徹底ぶりカルビー元会長 松本晃氏

もちろん残業した場合には、残業代は払いました。法律を破るわけにはいかないから。でも残業代なんか本当は払うべきじゃないと思っていました。長時間労働なんて何の自慢にもならない。しかし、いまだに昔の働き方が最適だと思っている人が、日本にはたくさんいる。これが問題なんです。特に働かせる側の問題が大きいです。平気で長時間労働させるブラック企業は、時間はかかるかもしれませんが自然淘汰されますよ。

高度成長時代を引きずる労働慣行

皆さん残業? なかなか明かりの消えないオフィスも

働き方改革の本質をとらえるには、現在の労働慣行の成り立ちを知っておく必要があります。今の労働慣行ができた背景には、戦後から高度経済成長期にかけての深刻な人手不足があるんです。

会社側からすれば、人手を十分に集められないので、すでにいる社員一人ひとりに少しでも長い時間働いてもらうしかない。そのために残業手当をつけた。その方が、もう一人雇うよりはるかに安いですから。ただ、昼間と同じ賃金では働いてもらえないので、国と一緒になって法律を変え、何時以降は何%アップといった割増賃金の仕組みをつくったんです。

働く側の事情もありました。昔はみんな貧しかった。田舎から集団就職列車で上京し、仕事を探した。「あゝ上野駅」の時代ですよ。さらに、みんな物質的な豊かさを求めていたから、洗濯機が欲しい、テレビも欲しい、車も、家も……。あれも欲しい、これも欲しいとなると残業手当が必要になる。だからみんな喜んで残業したんです。

人手不足に対応するもうひとつの新しい仕組みが、終身雇用です。社員に途中で辞められたら困りますから。そして、それがうまく機能するように「年功序列」と「給料の長期後払い」をとり入れた。「わが社でずっと働けば、地位も給料もどんどん上がりますよ」と言って社員のモチベーションを高めたんです。

ところが、終身雇用や年功序列は大きな矛盾を抱えていました。一般に人間のパフォーマンスは年齢とともに上がりますが、ある年齢に達すると逆に落ち始めます。年功序列の下では、仕事のパフォーマンスは落ちるのに給料は上がり続けることになるんです。

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