会社が求めるのは変われる人 「つながり」守らず更新一橋大学名誉教授 石倉洋子(7)

つきあう人を変えるという点では、それまでの自分の専門であったビジネス以外に、学術会議の仕事などを通じて、科学者の方々と触れあうようになって、貧困、エネルギー、気候変動など世界の課題への認識は大きく変わりました。科学や技術関連の会合に出席したり、黒川清さんなどの話を繰り返し聞いたりする機会がある中で、最初は、「この人は一体何のことを言っているのだろう?」と言葉もわからなかったのが、何度も聞くうちに少しは内容がわかってきました。

ああこういうことらしい、と納得する決め手になったのは、数年前に、世界で一流の科学者が集まったセミナーに出席した時です。世界の学者や政府関係者が数人、気候変動などについて講演をした時に初めて、「これまで私が聞いていた話はこういうことだったのだ」ということがわかったのです。この感覚もとても鮮やかだったので、今でもその場の光景が思い浮かぶほどです。

SNSはマンネリになってしまう危険性も

ブログ、ツイッター、フェイスブックなどソーシャル・メディアが普及して、学校や勤務先、地域などを超えて、同じ関心を持つ人や同じような目標を目指す人たちと「つながる」手段が、誰でも簡単に利用できるようになりました。また関心のある分野の情報を得るためには、その分野で積極的にインターネットを活用して発信している数人をフォローしたり、あるテーマについての関連資料だけをまとめているキュレーション・サービスを利用したりすることもできます。

SNSを活用すれば、「毎日、同じ場所で同じ人と仕事をし、食事や飲み会もそのグループ、週末もその人たちとつきあう」という、場所に縛られた固定的なネットワークを壊すことができます。誰でもどこにいようとも、これまではアクセスできなかった人たちと「つながり」「違った世界」が開かれますし、見慣れた人以外の人と知り合い、そこから新しいアイデアのきっかけが得られるバーチャルな「場」に参加することができるわけです。

しかし、距離や組織を超えたとしても、「同じ」関心、目標を持つ人たちだけとつきあっていると、結局は、そのつながりが硬直化して、マンネリになってしまい、新しいアイデアが出ない、最初に感じたような刺激がなくなってしまう可能性もあります。

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