滑らかにパワフル BMW「8シリーズ」20年ぶり復活

2019/6/9
BMWは約20年ぶりに高級クーペ「8シリーズ」を復活させた(写真:荒川正幸、以下同)
BMWは約20年ぶりに高級クーペ「8シリーズ」を復活させた(写真:荒川正幸、以下同)
webCG

自動車情報サイト「webCG」から専門家による試乗記を厳選し掲載する。第1回は独BMWの高級クーペ「M850i xDriveクーペ(4WD/8AT)」を紹介する。

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踏めば速いことは間違いないが、この「BMW M850i xDriveクーペ」にそうした乗り方はふさわしくない。真に味わうべきはスピードではなく、あふれ出るパワーと最新のテクノロジーがもたらす、ゆるりとした贅沢(ぜいたく)なひとときではないだろうか。

復活した「8シリーズ」

いきなり身もふたもない言い方かもしれないが、1700万円あまりもするBMWのフラッグシップクーペに何かしら不足に感じるところがあるわけがない。何しろほぼ20年ぶりに復活した「ザ・8シリーズ」である。素晴らしくて当たり前、そうでなければBMWの沽券(こけん)にかかわるというものだ。ご存じのように、これまでは「6シリーズ」がハイエンドラグジュアリークーペの需要を受け持ってきたが、すでにこの2ドアクーペに加えて「コンバーチブル」も発表されており、また4ドアの「グランクーペ」が追加されることになっている。さらにサーキットではいち早くGTレーシングカー仕様が猛威を振るっている「M8」の登場も明らかにされており、今後、BMWの豪華高性能クーペシリーズは「8」で統一されることになる。

「8シリーズ」は「6シリーズ」に代わり、BMWのハイエンドラグジュアリーラインを担当する

8シリーズのようなトップエンドモデルは、台数を売るというよりも、さすがはBMWの最高峰、と世の中をうならせ、羨望(せんぼう)のまなざしを集めることが第一の仕事である。それゆえに、伸び伸びとした優雅で大柄なボディーの中には、可変駆動力配分4WD機構の「xDrive」や後輪操舵システムから、最新の運転支援システムやインフォテインメントまで、BMWのほとんどあらゆる技術が詰め込まれている。

BMWのスポーティーさとラグジュアリーを象徴するフラッグシップクーペの全長はおよそ4.9m、全幅1.9m、ホイールベース2820mmで、そのボディーサイズを目いっぱいに使ったいかにも贅沢なクーペスタイルが特徴だ。シュッとシャープに下るルーフラインと細くなった「ホフマイスターキンク」(Cピラー基部)が新しい世代を感じさせる。ボディーはもちろんカーボンファイバーやアルミ、スチール材を組み合わせたカーボンコアボディーで、ボンネットやドア、ルーフパネルはアルミ製(ただしこのクルマはオプションのカーボンルーフ付き)だが、抑揚が強いリアフェンダーまわりだけは深絞りのためにあえてスチール製だという。

ボディーサイズは全長×全幅×全高=4855×1900×1345mm。ボディーの各所にカーボンファイバーやアルミが多用されているが、テスト車の車両重量は1990kgに達していた

思わず声が出るような

つい先日、3リッター直6ディーゼルターボを積む「840d xDrive」も追加発売されたが、いち早く上陸したM850iは、Vバンクの間に2基のツインスクロールターボを配置した4.4リッターV8ツインターボエンジンを搭載、燃料噴射圧アップなどさまざまな改良を受け従来型(改良前の「7シリーズ」などに搭載)よりも80ps増しの530ps/5500rpmの最高出力と750Nm/1800-4600rpmの最大トルクを生み出す。