職場に同僚が連れてくる子供が苦手
脚本家、大石静さん
職場に同僚が連れて来る子供への接し方が分かりません。まわりにいる未婚の女性や、子供のいない女性のことが気になってしまいます。自分には子供がいますが、そもそも子供が得意でないことも原因だと思います。どうすればいいか不安です。(大阪府・30代・男性)
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同僚がなぜ職場に子供を連れて来るのか、事情がわかりませんが、やむにやまれぬ状況なら、無碍(むげ)に否定もできませんね。
でもだからと言って、子供には愛想よく接し、かわいがらなければならないとは、まったく思いません。あなたは子供を無視して、やるべき仕事をしていればいいと思います。
昨今の子供は大切にされることに慣れていますし、世の中も子供に甘い風潮です。
しかし、仕事をしている大人の邪魔をしてはならない。大人には大人の世界があるのだと、子供にビシッと感じさせることは、教育のひとつでもあります。
ですので、子供は仕事の邪魔かもしれませんが、そんなことには負けずに、あなたはあなたのペースで、やるべきことをやられたらよいと思います。
ただ一点、あなたの質問を読んで、私が違和感を持ったのは、「まわりにいる未婚の女性や、子供のいない女性のことが気になってしまいます」とある点です。
そんな同情は無用のことですよ。余計なお世話です。
子供のいない女性が、みな気の毒だと思うことも、偏った考え方で、無礼なことではないでしょうか。
子供嫌いで、同僚が職場に子供を連れて来ることを不愉快に感じている。そのことを、他の人への同情という「きれい事」に置き換えることの方が問題だと、私は感じました。
私は結婚していますが、子供はいません。欲しかったけれどできなかった訳ではなく、意志を持って子供を持ちませんでした。少子化が問題化されている昨今、産まなかった女性へのまなざしは厳しくなりましたが、私は私の意志で選択した人生を後悔もしていませんし、他の人に的外れな同情をされたり、批判をされたりするのは不愉快です。
不妊治療で苦しい思いをしている人もいますが、そういう人の気持ちが、他人にどこまで理解できるかといえば、その心の奥底を理解することはむずかしいでしょう。
安易に同情などしないのが人としての礼儀であり、誠実な接し方だと、私は思います。
余計な心配や同情はせず、自分の感情をきれい事に流さず、お仕事に邁進(まいしん)して下さい。
[NIKKEIプラス1 2019年6月1日付]
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