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なでしこ高倉監督いざ出陣 好きなサッカーに恩返しを

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NIKKEI STYLE

日経ARIA

6月7日(日本時間8日)に開幕したサッカーの女子ワールドカップ(W杯)フランス大会で、再び世界の頂に挑戦する「なでしこジャパン」(日本女子代表)。いよいよ10日(日本時間11日)にW杯1次リーグD組初戦でアルゼンチンと顔を合わせます。監督の高倉麻子さん(51)は小学生の時にサッカーを始め、大学卒業後は創設直後の女子リーグで選手として活躍してきました。36歳で引退した後、ここ10年はコーチや監督を務め、数多くの女子サッカー選手の育成に関わっています。そんな高倉さんが追求してきた指導者としてのスタイル、若い女子選手との向き合い方などについて、話を聞きました。

10歳からサッカーに夢中になるも、将来のことは考えていなかった

―― まず監督自身のことをお尋ねしたいのですが、何歳くらいからプロ入りを目指してプレーしていたのでしょうか。

高倉さん(以下、敬称略) 初めてサッカーボールを触ったのは小学校4年生、10歳の時でした。男の子とばかり遊んでいた子どもだったので、友達が入っていた男子のサッカーチームに私も入りました。もともとスポーツは好きだし得意で、いつも山を駆け回ったり野球をしたりしている子どもでした。

サッカーチームに入ってからもすぐなじんで、サッカーにのめり込んでいきました。中学・高校でも福島から東京のクラブチームまで通い練習しましたが、当時女子のサッカーリーグはなかったので、サッカーで生きていこうとはこれっぽっちも思っていませんでした。日々ただサッカーがうまくなりたいという気持ちが大きかった。

―― いつからサッカーで生きていこうという決意を?

高倉 大学1~2年生の頃は、そろそろサッカーをやめて就職について考えなくては、と思っていました。ところが3年生の時に女子リーグができて、アジア大会など世界的な大会も開かれるようになり、サッカーで生きていく土台ができました。1991年に大学を卒業してからは、サッカーで食べていくと決めて、アメリカや日本でプロの選手としてプレーを続けました。

―― 日本女子代表として79試合に出場し、30得点を決めるなど活躍しました。そして引退後、U-16(16歳以下)日本女子代表のコーチからキャリアをスタートし、アンダーカテゴリーの代表監督などを経て、2016年からなでしこジャパンの監督を務めています。40代は監督としてのキャリアを積んできた時期だと思いますが、どんな10年でしたか。

高倉 36歳で現役引退をし、その後女子サッカーの裾野を広げるために、中学生のトレセン(トレーニングセンター制度)を手伝ったりしました。引退後は時間があったので、何か新しいことを始めたいという思いとともに、好きなサッカーに対しての恩返しをしたいという気持ちもあって。「時間があるときに手伝って」と関係者にそそのかされて(笑)、そのうち気付けばU-13(13歳以下)の監督などいろいろなことを頼まれるようになっていました。

そもそも指導者になりたい、という気持ちはなかったんです。自分は指導者には向いていないと思っていました。ただ、育成は選手の一生を左右する仕事でもあります。いいアドバイスやいい環境を与えてあげれば、選手がやる気になって伸びることもあるし、逆もある。だから勉強をして育成のための資格を取ったりもしました。

やるとなれば全力でやりますし、試合に勝ちたい、選手を伸ばしてあげたいという思いは強く持っています。でもグラウンドを一歩出ると「自分は指導者に向いているのかな? いや、向いていないんじゃないか……」という思いはずっと持っていましたね。

監督やコーチに「こうしなさい」と言われるのが嫌いだった選手時代

―― 意外です。どのあたりが向いていないと思ったのでしょうか。

高倉 私は選手時代、監督やコーチに「こうしなさい」と言われるのが極端に嫌いだったんです。自分で選んで自分で考えるサッカー人生を送ってきました。もちろん自分でやっているつもりでも、いろいろな人の助けがあったということは、今となれば分かりますけれど。でも「自分の生き方は自分で切り開くものなんじゃないの?」と思っているから、国内のスポーツシーンでありがちな「監督に怒られるから」「コーチにこう言われたから」とやみくもに従う姿勢にはものすごく違和感があって。ですから「教えてあげる」人のイメージが強い監督というポジションには、私は向いていないかなと思っていました。

チーム内のルールやゲームの中での戦術など、選手に伝えるべきことは伝えます。でもそれ以外の「自分は何がしたいか」ということは、選手ごとに答えがあります。それを表現するのは自分です。「自分でうまくなれ」と若い選手にはいつも言っています。何からでも学べるんです。サッカーを見ても学べるし、他の世界の人と話しても、歴史書を読んでも、何かしら学ぶことはある。

私はあまり「こうしろ、ああしろ」と言うタイプの監督ではないと思います。大枠は伝えますし、戦い方などを決めることはありますけれど、グラウンドでプレーするのは選手なので「あとはやってみなさい」という感じ。けれども、これまで監督やコーチに指示されてきて、考える習慣がない選手は「どういうふうにしたらいいですか?」と答えを欲しがります。そのときは「そこは自分で考えることじゃないの?」と伝えます。でも最終的に分からない選手に対しては、「こういうプレーもあるよね」とアドバイスできる引き出しは監督として持っていなければならないと思っています。

―― プレーなどにも「ダメ」とは言わないタイプの監督ですか?

人の話を聞ける、というのは大事な能力

高倉 そうですね、あまり「ダメ」とは言いません。勝手なプレーやグラウンド上でのサボり、気分でプレーが変わってしまうなど、「それはダメなのでは?」というときは伝えますが、プレーの選択ミスやトライしてエラーしたことに関しては、「自分のミスだな」と選手が一番分かっています。もちろんミスをすぐに認める選手だけでなく、認めたがらない選手、自分のミスだと気付かない選手もいますので、それは私が言うかコーチが言うのかその時々で判断しますけど、「あのプレーはどんな感じだった?」と聞きます。映像を使って説明するなど、選手が納得して次のプレーにトライできるのが理想だと思います。

素直な選手はやはり伸びますね。人の話を聞けるというのは大事な能力です。その上で自分で取捨選択をすればいい。聞いて「あ、そうか」と腑(ふ)に落ちる場合もあるでしょうし、腑に落ちていなくても「そうか、そういう考えもあるんだな」と思えばいいんです。

―― 少し言いにくいことを伝えるタイミングなどで、意識していることはありますか。

高倉 合宿中は食事の後などに選手を部屋に呼んで、いろいろな雑談をしながらプレーの話をします。特にベテランというか年齢の高い選手に対しては、尊重すべきところはあると思いますし、またチームの中での役割などこちらが望んでいることも多いので。若い選手は「自由にやって!」と思っているので、よほど元気がないとか、プレー中もあさっての方向を向いている場合などは、気に掛けて話しかけたり、ハッパを掛けたりします。

選手同士が話しているときは、なるべくその場にいないように

―― 一般の会社でもあると思うのですが、選手(会社だと部下)によって監督(会社だと上司)に積極的に話し掛けてきたり慕ってきたりする人と、監督(上司)のほうからコミュニケーションを取らないとほとんど話し掛けてこない、というタイプの人がいると思います。対応に違いはありますか。

高倉 話がポンポンと盛り上がるタイプの選手と、なかなか弾まない選手はいます。でも後者のタイプでも一日一言くらいはいろいろなことを話すようにしています。

もちろん、どちらのタイプであっても選手としての扱いに差が生じることは決してありません。グラウンドで何ができるか、ということがすべてです。試合ごとに選手の調子や、先発でいったほうがいい、後発でいったほうがいいなど戦術的なこともありますので。交代のタイミングなどの狙いも選手たちに伝えています。代表の選手は誰しも試合に出たいですし、それぞれの所属チームなどでは皆エースなので。采配に納得いかないこともあると思いますが、サブの選手がいてこそのチームなので、大事に思っていることは伝えます。

試合に出られないことを悔しいと思って頑張る選手と、落ち込んで調子がさらに悪くなってしまう選手はいます。落ち込んでしまう選手には、悪いから使わないわけじゃないよ、ということは伝えるようにしています。でも試合に出られなかった後のことも含めて勝負の世界です。それだけ大変な世界だし、世界大会などの貴重な場で闘うってそういうことだよ、と選手にも伝えています。

―― 選手同士のコミュニケーションを後押しする方法はありますか。

高倉 選手同士がプレーのことで自発的に話しているときは、なるべくその場にいないようにします。選手同士の話はどんどんしてもらいたいし、みんなが尊重し合って意見を言い合える環境はいいと思いますし。

自分が話すミーティングは必要以上に長くやらないようにしています。「あとは自分たちで映像見て話をしておいてね」と。合宿は長いから必要以上に監督やコーチといたくないですよね。私も嫌です。「帰ろ、帰ろ、なるべく選手の見えないところに行こう」とコーチなどに声を掛けて、なるべく選手がゆっくりできるように、解き放つよう心掛けています。

―― 最後にワールドカップへの意気込みをお聞かせください。

高倉 私たちはチャレンジャーです。ワールドカップで再びトロフィーを掲げるという大きな目標はありますが、そこにたどり着くために一つひとつの試合を全力で戦い、その中で成長していきたいと思っています。応援よろしくお願いいたします。

(取材・文 砂山絵理子=日経ARIA編集部、写真 鈴木愛子)

[日経ARIA2019年4月25日付の掲載記事を基に再構成]

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