ものまね芸人Mr.シャチホコ 和田アキ子ネタで急浮上
和田アキ子のモノマネを得意とするMr.シャチホコが人気だ。シャチホコがモノマネで着目するのは、歌声ではなくトーク。そっくりな声色やイントネーションと共に「何をされてる方なの?」など、彼女が言いそうなフレーズで笑わせる。長い下積み生活を続けてきたが、バラエティー番組向けの新技を開発し、瞬く間に人気者になった。
その激似ぶりから、モノマネ番組だけでなくさまざまなバラエティーから引っ張りだこで、技を生かしたドッキリ企画まで生まれている。昨年12月放送の「水曜日のダウンタウン」(TBS系)では、アッコファミリーに片っ端から電話して1カ所に召集する企画で仕掛け人となり、武田修宏、松村邦洋、あびる優らを次々に呼び出してスタジオを驚かせた。
「17年はテレビ出演が1本もなかったけど、今は休みがほとんどない状態」と急激に多忙になった様子を明かす。
子どもの頃から目立ちたがり屋で、モノマネをやり始めたのは小学校に入学した頃。「もともと『欽ちゃんの仮装大賞』や『NHKのど自慢』など、一般の人が参加する番組を家族でよく見ていたんです。その流れでモノマネ番組も好きで、ごく自然に自分もやり始めて。高校生の頃はB'zとサザンのモノマネでヒーロー的な扱いをされてました(笑)」。
テレビデビューのきっかけは、大学生のときに趣味で投稿したユーチューブ動画。桑田佳祐&Mr.Childrenの楽曲「奇跡の地球(ほし)」を一人二役でモノマネする動画を見たテレビスタッフから、13年に特番出演のオファーを受けた。
当時、教師になるつもりで日本体育大学に通っていたが「打ち合わせも含めた番組収録の日程と、教育実習の期間がかぶってしまって。親に内緒で教育実習に行くのをやめ、番組を選びました」
その後、大学在学中にモノマネ芸人の登竜門的存在であるショーレストラン「そっくり館キサラ」のオーディションを受け、3回目に合格。歌マネを中心にショーパブなどで活動するようになった。
和田アキ子のモノマネを見つけたのは17年秋のこと。「当時、バイト以外の仕事がまったくない状態で、お付き合いしていた妻(モノマネ芸人のみはる)にプロポーズしたくてもできなかった」
「どうやったらテレビに出られるのかと真剣に考えたとき、バラエティーで活躍されている原口あきまささんやホリさんは、しゃべりのモノマネが面白いということに気がついて。自分も歌だけでなく、トークで何か振られたときに返せるようなモノマネを見つけようと思って、何人か試していったなかで一番瞬発力があったのがアッコさん」
このモノマネを引っさげて「うちのガヤがすみません!」「ものまねグランプリ」(共に日テレ系)などに出演後、瞬く間に人気者となった。
「昨年10月にアッコさんが僕と一緒に撮った写真をインスタグラムにアップしてくれたのが大きかった。キャスティングで迷っていたディレクターさんたちに"使っていいんだ"って思ってもらえたというか(笑)。一気にオファーが増えました」
数々のレパートリーを持つが、これからも和田アキ子のモノマネをベースに活動していくという。「アッコさんで世に出られたので、ずっと大事にしていきたいです」。まだ始まったばかりの芸能活動、息の長い活躍に期待したい。
(「日経エンタテインメント!」5月号の記事を再構成 文/遠藤敏文 写真/中村嘉昭)
[日経MJ2019年5月31日付]
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