変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック

入り口近くの平台に店頭販促(POP)付きで展開する(三省堂書店有楽町店)

入り口近くの平台に店頭販促(POP)付きで展開する(三省堂書店有楽町店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は2~3カ月に一度訪れる準定点観測書店の三省堂書店有楽町店だ。前回訪れたのは3月末。その後もビジネス書の売れ行きは好調だが、ここでも10連休で5月の発行点数が少なく、有力な新刊が乏しいのが悩みの種だという。売れ行きを見ながら細かく平台を並べ替えるなど、丁寧な棚づくりで読者を掘り起こす日々が続く。そんな中、書店員が注目するのは、スイスの事業家・作家によるよりよい人生を送るための思考の道具をまとめた一冊だった。

著者はビジネス書要約サービスの設立者

その本はロルフ・ドベリ『Think clearly』(安原実津訳、サンマーク出版)。副題には「最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法」とある。著者のドベリ氏は略歴によれば、スイス航空の子会社数社で最高財務責任者や最高経営責任者を務めた後、ビジネス書の要約を提供するオンラインライブラリー「getAbstract」を設立、一方で執筆活動も精力的に行い、ドイツやスイスの新聞・雑誌でコラムを連載するなど、人気コラムニストとしても活躍しているという。

本書は、そんな著者が広範な知識・教養をベースにして自分が使ってきた人生をよりよく送る様々な思考法を「思考の道具箱」としてまとめたものだ。全部で52の思考法を紹介している。「考えるより、行動しよう」「必要なテクノロジー以外持たない」「世界を変えるという幻想を捨てよう」……思考法はそれぞれこんなタイトルがついて6~9ページのショートエッセーにまとめられている。

目次を開いただけでは見慣れた言葉が多いような気がするかもしれない。だが、自らのちょっとした体験談や簡単な心理テストから説き起こし、ビジネスや歴史、心理学の研究など多彩なエピソードを交えて語られる思考法は読むだけでも十分おもしろい。心理学や行動経済学の最新の知見がちりばめられている上、著名投資家のウォーレン・バフェット氏の言葉や古代ギリシャにさかのぼるストア派哲学の金言なども巧みに参照されて思わず納得してしまう。そんな巧みで柔らかい語り口が本書の魅力だ。

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedo日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック