世界を20分駆け巡った謎の地震 ついに原因が解明

日経ナショナル ジオグラフィック社

ロイヒは、こうしてできたハワイの火山のうち、最も若いものだ。1996年に大噴火を起こし、マヨット島付近で観測されたのと似たような数千もの地震を引き起こした。ロイヒの場合、マグマ溜りのマグマが全て放出され、空になったマグマ溜りが崩壊したために地震が発生していた。

しかしコモロ諸島の場合、状況はもう少し複雑だ。一部の地質学者は、ここの火山群も似たようなホットスポットによって誕生したと考えているものの、コモロ諸島は大昔にマダガスカルがアフリカ大陸から引き裂かれた際にできた割れ目の中にある。このような割れ目沿いでも、火山活動は活発になる。奇妙なことに、最新の火山活動は、コモロ諸島のなかでも最古のマヨット島沖で起きている点をルービン氏は指摘する。つまり、ハワイのようにできた順には並んでいないことになる。

ヒックス氏は、最新の火山活動の手がかりが、海底で冷えて固まったマグマに含まれる鉱物に隠されているかもしれないとみているが、さらに多くのデータがなければ確実なことは言えない。調査チームは新しい火山の一帯からすでにサンプルを得ている。周辺の鉱物の研究が進めば、より詳しい事実が明らかになるだろう。

「それは100万ドル級の問題です」

では、新しい火山活動は、群発地震や奇妙な地震とどう結びつくのだろうか。

「それは100万ドル級の問題です」と、ヒックス氏。

最近の欧州地球科学連合の学会で発表された報告書によると、11月に記録されたような低周波の長い震動は、マヨット島の一連の出来事のなかでは唯一の事象ではなく、長く続く群発地震に伴うものだという。だが、どのような状況が低周波の震動や群発地震を引き起こしているのか、正確にはわかっていないし、火山の噴火が今も続いているかさえ定かではない。

「まだ多くの研究が必要です」。オーストラリア、アデレード大学の地質力学の専門家マーク・ティンゲイ氏は、ツイッターのダイレクトメッセージでそう答えた。「しかし科学者たちにとっては、海底火山が誕生または復活するところを研究できるかもしれないチャンスです」

ようやく道筋が見えてきたことは、ソーシャルメディアでこの現象を追っていた世界中の人々にとって朗報だ。関係者らは、調査が進むたびに最新情報をネットに投稿し、米国大学間地震学研究連合のウェンディー・ボーン氏いわく「最も純粋でワクワクさせる科学」を垣間見せてくれている。

そしてもちろん、島の住人にとっても謎の解明は大きな意味を持つ。欧州地中海地震学センターの社会学者ローレ・ファロウ氏は、当初は地震の原因もわからず、情報も不足し、人々は不安と混乱を募らせ、様々な憶測を呼んでいたと語る。ファロウ氏は、この地域で効果的な科学コミュニケーションにおける文化の役割について研究してきた。

だが、最新の発表で島民の間に新たな感情が沸き起こった。「これまで恐れを抱いていた人々が、新たな事実に強い関心を示しています。何かすごいことが起こっているのだと」

(文 Maya Wei-Haas、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年5月24日付]