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サメの赤ちゃん「陸の小鳥」を常食 なぜどうやって?

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/6/8

■餌食になる渡り鳥

奇妙なことに、11種のほとんどが、ヌマウタスズメ、ハシナガヌマミソサザイなどスズメ目の鳥だった。庭を訪れ、美しい声でさえずる鳴き鳥たちだ。

草の上に止まって鳴くハシナガヌマミソサザイ。米ニュージャージー州マネーアイランドで撮影(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

しかし、なぜ陸の鳴き鳥たちが次々と海で命を落としているのだろう? ドライモン氏らは市民科学プロジェクト「eBird」のデータを利用し、11種の鳥たちがメキシコ湾に近いミシシッピ州とアラバマ州で最も多く見られる時期を特定。すると、いずれの種も個体数がピークに達するころ、サメの胃袋に収まっていることが判明した。

「この現象が鳴き鳥の渡りと関連することを強く示唆しています」

ほとんどの鳴き鳥が秋に食べられていたことから、南を目指して飛び立った後、予想外の大嵐に見舞われ、海に落ちたのではないかとドライモン氏は考えている。

秋になると鳥たちが増えることに、サメが気付いていた可能性もある。ドライモン氏らが調べた結果、8~11月はほかの時期に比べ、一帯でイタチザメの子どもの数が3倍に増えると判明したためだ。このように餌を動機としてイタチザメが集合する例は、ハワイ州のフレンチフリゲート礁などでも確認されている。フレンチフリゲート礁のイタチザメはアホウドリのひなを食べる。

■鳥はイタチザメのベビーフード?

「しかし、もっと興味深いのは、これらのイタチザメの大多数が赤ちゃんだという点です」

赤ちゃんが海に墜落した鳴き鳥にありつくことができるよう、イタチザメの母親がメキシコ湾北部で出産している可能性もある。

アホウドリのひなに襲いかかるサメ。米ハワイ州のフレンチフリゲート礁で撮影(PHOTOGRAPH BY BILL CURTSINGER, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

オーストラリア、アデレード大学の海洋生物学者サマンサ・マンロー氏はメール取材に応じ、今回の研究は「陸の種と海の種のつながりについて、私たちの認識を変えるきっかけになるでしょう」と感想を述べた。「また、さまざまな興味深い研究課題の素晴らしい出発点になると思います」。マンロー氏は、今回の研究には参加していない。

例えば、鳴き鳥はほかの獲物より栄養が豊富なのかどうかも研究課題になるだろう。マンロー氏は話す。「今後、陸の鳥の熱量や栄養価をほかの獲物と比較すれば、イタチザメの食事と生存にとって、鳴き鳥がどれくらい重要かがはっきりするでしょう」

(文 JAKE BUEHLER、訳 米井香織、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年5月23日付]

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