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怒りが顔に出るのは「三流」の証明か。写真はイメージ=PIXTA

怒りが顔に出るのは「三流」の証明か。写真はイメージ=PIXTA

同じ「部長」という肩書でも、手腕や人柄は一様ではない。取締役へのふるい分けステージでもあり、ここでの仕事ぶりは出世の明暗を分ける。『部長の一流、二流、三流』(明日香出版社)を書いた志倉(しくら)康之氏は「さらに階段を上る部長と、部長で終わる人の間には、モチベーションの保ち方や部下との向き合い方に大きな違いがある」という。一流部長に成長していく方法を教わった。

「イヤイヤ部長」と「ウキウキ部長」

部長は悩ましいポストだ。多くの企業では「経営サイドの人間」と位置づけられ、意思決定・マネジメント層に組み込まれる。労働組合から抜けて、形のうえでも「経営者」になるケースも多い。人事や予算の権限を与えられ、部下を指導する立場になる。しかし、直前までは一人の働き手で、「現場」の一員だったわけで、突然、経営者の顔を持つのは容易ではない。「課長級までは自分の思いを率直に言いやすいが、部長から先は言葉を選んでしまいがち」(志倉氏)。吐き出せない言葉でストレスもたまる。

必ずしも出世のゴールではないのに、部長ポストに就いた瞬間、守りに入ってしまうケースも珍しくない。考え方が前例踏襲的になり、会社の利益を代弁する。年間に200社程度のコンサルティングや研修を引き受けている志倉氏は「部長の8割ぐらいは仕事がつらそうに見える。経営層からの要求と部下からの突き上げにはさまれて、消耗している人が少なくない」という。こうした「イヤイヤ部長」はパフォーマンス面でも結果を出せていないことが多いようだ。

一方、職場でスキップを踏んでいそうな「ウキウキ部長」も2割程度はいるという。見るからに表情が明るいだけではなく、概して仕事の成果も良好で「部長の表情と部の成績には比例関係が見て取れる」(志倉氏)。では、「イヤイヤ部長」と「ウキウキ部長」の違いはどこから生まれるのか。志倉氏は「部長自身が思い描く自分のイメージ。とりわけ、目の前の仕事の先にある『こうありたい』という姿の有無が部長のモチベーションを左右しやすい」とみる。

経営陣のメッセンジャーなのか

目先のミッションや目標数値にとらわれてしまうと、部下を効率的に動かして短期的に結果を出す方向に考えが向かいやすくなる。リーダーというよりは管理者や進行管理係といった役割に傾き、部下との接し方も「しった激励コーチ」「監督官」式になりがちだ。部下からは「会社に尽くす人」と見えやすく、信望を得にくくなる。こうした態度が続くと「視野が狭くなり、結局はくたびれてつぶれてしまうリスクが高くなる」(志倉氏)。「会社の言いなり」型部長の先行きは危ういと言える。

しかし、部長を一種の通過点と考え、もっと先に「なりたい自分」「やりたい仕事」を見据えている人は目先思考の窮屈さから逃れやすい。当面の目標をないがしろにするわけではないが、未来志向で取り組むタイプだ。ビジョンを部下にも語るから、共感や納得を得やすくなる。「結果的にチームの連帯が強まって、パフォーマンスも上がる」(志倉氏)

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