リタイア後もお忘れなく 住民税の時間差課税に注意住民税の基本(上)

良男 ということは65万円と33万円を足した98万円を超えると住民税がかかるのか。

幸子 ちょっと複雑なんだけど、さっき話したように住民税は35万円の課税基準があるので、給与所得者は100万円以下であれば住民税がかからないのよ。ただし、100万円を超えると所得割も均等割も課税されるわ。その場合の控除額はパパがいう98万円になるので、98万円との差額に対して税率10%の所得割と均等割5000円を納税することになるのね。

 わぁ、難しい。とりあえず住民税は「100万円の壁」と覚えておけばいいのね。

良男 パパが気になるのは配偶者控除だな。

幸子 2017年度の税制改正で配偶者控除に所得制限ができたの。所得900万円以下ならこれまで通り33万円が控除されるけれど、収入が増えるにつれ控除額が減って、所得1000万円を超えると受けられなくなったのよ。所得税は18年分から変わったけど、住民税は今年6月から引かれる分が該当するわ。収入の多い人は手取りが減って痛手になるわね。

 住民税も所得税みたいに会社で年末調整したり、確定申告したりするのかな。

幸子 所得の情報は会社や税務署から自治体に提供されるから基本、申告は不要よ。年金生活者でも医療費控除などがあって確定申告をした人なら、会社員と同様、申告不要ね。ただ副収入がある場合、所得税は所得が20万円以下なら申告不要だけれど、住民税は必要よ。

良男 ついつい申告を忘れている人も多そうだな。

幸子 杉江税理士によると、もし申告に不備があった場合は、自治体が発行する課税証明書がもらえないこともあるそうよ。住宅ローンのような融資を受ける際には、課税証明書や非課税証明書が必要になるので、もれなく申告しなくちゃね。

■ふるさと納税、本来の趣旨忘れずに
大和総研シニアエコノミスト 神田慶司さん
住民税との関わりが大きいのがふるさと納税です。返礼品が人気となり、2017年度の寄付額は前年度比28%増の3653億円でした。税収の少ない自治体の財源確保や、被災地への寄付文化の定着といった効果もありますが、地方交付税を受けない都市部からの税金流出は問題です。税収から試算すると1兆円近い税金が返礼品に切り替わる可能性があります。
本来の行政サービスに影響が出かねないほか、返礼品が安く手に入るため、市場競争がゆがめられる側面もあります。ふるさと納税は本来、地方が産業を創出・活性化させ、持続的な発展につなげる趣旨で始まりました。「寄付額の3割以下の地場産品」というルールを順守し、寄付の使い道の情報開示を進めることが大切です。(聞き手は成瀬美和)

[日本経済新聞夕刊2019年5月29日付]

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