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ヒットの原点

お受験服の縫製工場がNY進出 挑むのは最新モード ファッションしらいし 白石正裕社長(下)

2019/6/4

――思い切って海外へ出て行ったことでどんな収穫がありましたか?

「世界には非常にレベルの高い縫製工場があることを知りました。実際に、そういうところとの仕事上での戦いもあります。なかでもイタリアの縫製工場はとても強い。日本とはそもそもの仕組みが違うんです」

「日本にある縫製工場の多くはアパレルから送られてきたパターンに従って加工するだけですが、彼らはパターンから自分たちで手がける。パタンナーと縫製スタッフの間で綿密なコミュニケーションが取れるし、機械化も進んでいますから、サンプルアップまでがとても早いんです。世界の高級服地の95%はイタリア製だと言われていますから、その点でも、彼らは強い」

「細かな縫製は確かに日本人のほうが丁寧です。しかし、丁寧であることと、服の性能がいいことは違います。イタリア人が作った服はほどけたりするけれども、着心地はとてもいいんです」

――最近、力を入れて取り組んでいることは?

「これから、すごくおもしろいことを始めようと思っています。例えば、後継者のいない70代ぐらいが経営している縫製工場があったとします。放っておくと廃業して、国内の縫製工場が減少してしまう。そこにニューウェーブを送り込むんです」

若手デザイナーと国内工場との出会いの機会もプロデュースし始めた

「若手デザイナーには、ヨーロッパの学校を出ている人がたくさんいます。そういう人たちはものづくりの現場と組んで仕事がしたい。そういう若手をさっき言ったような工場に紹介し、週に1、2回、ミシンやスペースをタダで貸してやってくれ、とお願いしています。ただし、その子たちがサンプルを作ってほしいと依頼してきたら、それは料金をとる。工場の経営者に話をしたら嫌がられるかなと思ったら、案外、喜ばれました」

「そんなわけで、今はやりたいことがたくさんある。海外と秋田にも行かなければいけないし、それと5月から東京婦人子供服縫製工業組合の理事長もやっています。いくら時間があっても足りないぐらいです」

(ライター 曲沼美恵)

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