脱炭素型都市へTOKYOが加速 選手村は水素タウン

「リーフ」は販売店でも目立つ位置に展示(東京都品川区)
「リーフ」は販売店でも目立つ位置に展示(東京都品川区)

1400万人が住み多くの企業が集積する東京は、二酸化炭素(CO2)の大排出地でもある。地球温暖化を抑制するには個人と企業によるCO2削減の努力が不可欠だ。「ゼロエミッション」を実現するため、住宅、家電、クルマのエコ仕様化や、究極のクリーンエネルギーといわれる水素の活用が東京で動き出した。目指すは脱炭素型都市の先頭だ。

東京都は2019年度、断熱や省エネにより通常より3割エネルギー消費を減らせる住宅の建築主に、補助金を給付する。戸建ての場合は1戸当たり70万円だ。それを当て込んで、都内の工務店などが対象住宅の製品化を進める。

その中の1社、岡庭建設(西東京市)は西武新宿線・東伏見駅からほど近い住宅地に木造のモデル住宅を早速建てた。二重窓、発光ダイオード(LED)を使った照明器具、熱を逃しにくい浴槽――。同社は「都が進める『東京ゼロエミ住宅』の水準を達成しています」とPRし、受注を狙う。池田浩和専務は「建設のタイミングが合うなら申請したいという方はいる」と話す。

都はゼロエミ住宅を、10月に予定される消費税率の引き上げに伴う需要の底割れを防ぐ経済施策にも位置づける。同様の買い支えを兼ねた環境政策は省エネ型のエアコンや冷蔵庫、給湯器といった家電でも実施する。

品川区内にある日産自動車の販売店では、店内に入ってすぐの場所に電気自動車(EV)「リーフ」を展示する。都は4月下旬から、個人を対象とするEVなどの購入補助を始めた。東京日産自動車販売(品川区)の担当者は「申請前の4月上旬には早くもお客さまから問い合わせが来ていた」と明かす。

都はゼロエミの最重点施策としてEVやプラグインハイブリッド(PHV)といった車の普及を進める。30年までに、都内で販売する新車の50%を「排ガスゼロ車」にする目標を掲げる。

価格が300万円前後のリーフの場合、国と都の補助金の合計は70万円になる。同社の4月でのリーフ販売実績は、18年4月に比べて3倍に増えた。担当者は「航続距離の伸びた新型の投入が背景にあるが、補助金の効果もあったと思う」と話す。

住宅や家電とは違って、EVは消費税率引き上げ前も対象となる。都が補助する予定台数は2000台で「補助金の枠が早くなくなってしまうかもしれない」(同社)とみている。

都は小池百合子知事が主導し、住宅、家電、クルマの「3点セット」を中心に、19年度はゼロエミ関連予算として約260億円を計上した。財政に比較的余裕のある都だからこそ、まとまった金額を投入できるといえる。だが、ある都議は「都民が補助金の存在を知るかがカギ。小池都政の補助施策は、大きく打ち上げても使われていない例もある」と指摘する。

都のCO2削減目標は30年に00年比30%減と野心的だ。だが、16年度時点の排出量は逆に6%増え、簡単に達成できる数字ではない。まずは19年度の補助金が効果的に使われ実現への第一歩となるかが注目される。