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小沢コージのちょっといいクルマ

絶好調だから「裏切る」 RAV4全面改良の狙いは…

2019/6/10

トヨタの佐伯禎一チーフエンジニア(左)と小沢コージ氏

世界的に人気のSUV(多目的スポーツ車)。アウトドアよりも街中での使用をメインに想定しているモデルも多いが、その元祖ともいえる存在がトヨタ「RAV4」だ。そのRAV4が全面改良を施し3年ぶりに国内での販売を開始した。2018年に全世界で80万台以上を販売した大ヒットモデルだが、ミニバンと軽自動車が売り上げ上位を占める日本で勝算はあるのか。トヨタの佐伯禎一(よしかず)チーフエンジニアに小沢コージ氏が話を聞いた。

■売れる売れないより大事なこと

小沢 意欲的なワイルドマスクに本格的な4WD(四輪駆動)システム。「SUVのワクドキ」をテーマに3年ぶりに復活したRAV4ですが、正直どれだけ売れると思いますか。ミニバンと軽とハイブリッドばかり売れる今の日本で。

佐伯 そこはさほど重要ではないと思っています。売れる売れないよりもっと大事なことがあるのかなと。

小沢 ええ? 本気ですか、それ。

佐伯 結果として売れるのはいいんです。ただ、売ろうと思って売っちゃダメでしょう。何でもそうですが、最初にお客様に気に入っていただき、次に買っていただいて、初めて「どうもありがとうございました」ですよ。気に入っていただいてもいない物をいくら便利だからって押し付けても信頼関係が崩れるだけで。

小沢 なるほど。そういう意味ですか。僕らマスコミはつい売れる売れないを重視し、どうにもネガティブなことを指摘しがちで。

佐伯 社長の豊田(章男氏)がよく言うように、クルマは時に「愛車」とも呼ばれる商品です。愛車の「愛」は購入が前提ではなくて、愛していただくことがまず最初にあるべき。青くさいことを言うようですが、それが「クルマが電化製品と違って愛が付く商品」という意味で。実際に愛冷蔵庫、愛パソコンとは言わないですよね。

小沢 とはいえ、今回RAV4で選べるようになった新4WDの「ダイナミックトルクベクタリングAWD」にしろ、この価値がわかる人が一体どれだけいるのかと。さっきダートコース(泥や土のある未舗装の道)で走らせたら確かにおもしろかったのですが。(※編集部注:ダイナミックトルクベクタリングAWDは、高い走破性・操縦安定性と燃費向上を両立する世界初の新4WDシステム。

佐伯 正直、わかる人は少ないでしょう。乾いた路面で違いはわかりにくいですから。でも、わからないからやめようではなく、わからなくてもそういう機能を持っていることが大切なんです。そういう商品じゃなければ、ブランド力は育ちませんから。

2019年4月、3年ぶりに国内販売を始めたトヨタ「RAV4」(税込み260万8200円~)

■ブランド力の本質とはなにか

小沢 ブランド力、ですか。

佐伯 例えばダイナミックトルクベクタリングAWD付きの新型RAV4に乗っていたとして、北海道の吹雪の中、車輪が脱輪してしまったとする。しかしベクタリング機能が付いていたから窮地から復旧でき、無事に帰ることができた。あるいは帰り道にゲリラ豪雨にあったとしても、家族の人が「RAV4だったら大丈夫だよね」と思うことができる。そういう思いの積み重ねが信頼性であり、ブランド力につながると思うんです。

小沢 時に性能は過剰なくらいでいいってことですね。確かにフェラーリやポルシェにしろ、公道じゃ絶対試せない速さを持ってますから。

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