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絶好調だから「裏切る」 RAV4全面改良の狙いは…

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NIKKEI STYLE

世界的に人気のSUV(多目的スポーツ車)。アウトドアよりも街中での使用をメインに想定しているモデルも多いが、その元祖ともいえる存在がトヨタ「RAV4」だ。そのRAV4が全面改良を施し3年ぶりに国内での販売を開始した。2018年に全世界で80万台以上を販売した大ヒットモデルだが、ミニバンと軽自動車が売り上げ上位を占める日本で勝算はあるのか。トヨタの佐伯禎一(よしかず)チーフエンジニアに小沢コージ氏が話を聞いた。

売れる売れないより大事なこと

小沢 意欲的なワイルドマスクに本格的な4WD(四輪駆動)システム。「SUVのワクドキ」をテーマに3年ぶりに復活したRAV4ですが、正直どれだけ売れると思いますか。ミニバンと軽とハイブリッドばかり売れる今の日本で。

佐伯 そこはさほど重要ではないと思っています。売れる売れないよりもっと大事なことがあるのかなと。

小沢 ええ? 本気ですか、それ。

佐伯 結果として売れるのはいいんです。ただ、売ろうと思って売っちゃダメでしょう。何でもそうですが、最初にお客様に気に入っていただき、次に買っていただいて、初めて「どうもありがとうございました」ですよ。気に入っていただいてもいない物をいくら便利だからって押し付けても信頼関係が崩れるだけで。

小沢 なるほど。そういう意味ですか。僕らマスコミはつい売れる売れないを重視し、どうにもネガティブなことを指摘しがちで。

佐伯 社長の豊田(章男氏)がよく言うように、クルマは時に「愛車」とも呼ばれる商品です。愛車の「愛」は購入が前提ではなくて、愛していただくことがまず最初にあるべき。青くさいことを言うようですが、それが「クルマが電化製品と違って愛が付く商品」という意味で。実際に愛冷蔵庫、愛パソコンとは言わないですよね。

小沢 とはいえ、今回RAV4で選べるようになった新4WDの「ダイナミックトルクベクタリングAWD」にしろ、この価値がわかる人が一体どれだけいるのかと。さっきダートコース(泥や土のある未舗装の道)で走らせたら確かにおもしろかったのですが。(※編集部注:ダイナミックトルクベクタリングAWDは、高い走破性・操縦安定性と燃費向上を両立する世界初の新4WDシステム。

佐伯 正直、わかる人は少ないでしょう。乾いた路面で違いはわかりにくいですから。でも、わからないからやめようではなく、わからなくてもそういう機能を持っていることが大切なんです。そういう商品じゃなければ、ブランド力は育ちませんから。

ブランド力の本質とはなにか

小沢 ブランド力、ですか。

佐伯 例えばダイナミックトルクベクタリングAWD付きの新型RAV4に乗っていたとして、北海道の吹雪の中、車輪が脱輪してしまったとする。しかしベクタリング機能が付いていたから窮地から復旧でき、無事に帰ることができた。あるいは帰り道にゲリラ豪雨にあったとしても、家族の人が「RAV4だったら大丈夫だよね」と思うことができる。そういう思いの積み重ねが信頼性であり、ブランド力につながると思うんです。

小沢 時に性能は過剰なくらいでいいってことですね。確かにフェラーリやポルシェにしろ、公道じゃ絶対試せない速さを持ってますから。

佐伯 ブランド力は決して1+1=2ではありません。2+α、それくらいあってはじめて魅力を感じられるんじゃないかと。僕はエンジニアなので、あまりマーケットを語りすぎても笑われますが、プラスαをしっかりやっていかないと、今認められているブランドでも25年経ったら飽きられちゃうよと。

小沢 だからこそ、日本で売られていませんでしたが、世界中で去年83万台も売れ、SUV世界販売ナンバーワンになったRAV4を大きく変えたわけですね。

佐伯 お客さま全員に「今度のRAV4、まあまあだね」って言われるより「あっ、この車!」って言われ、LOVEが付くくらいがいい。I like it、ではなくI Love it!と(笑)。

小沢 だからこその今回のRAV4の濃いめデザインと4WD性能なんですね。

お客様を裏切りたい

佐伯 その昔、フロリダにサウス・イースト・トヨタという会社がありまして、ジムさんという販売の神様がおられたんです。既にお亡くなりになられましたが、20数年前にお会いしたとき、「どんなクルマがいいクルマなんですか?」って聞いたんです。

小沢 なんともストレートな質問を(笑)。

佐伯 その時いただいた返事をいまだに心に刻んでいて、ジムさんは「シンプルで力強いメッセージを持つ商品がいい」「ワォ! って言葉が出るくらい。それは計算してないから出るんだよ」と教えてくれました。

小沢 「ワォ!」と言われるのがいい商品の目安。それこそがブランドだと。

佐伯 それと今回の5代目には、僕が3~4代目を作った経験も生きていて、3代目はバックドアにスペアタイヤを背負わせ、あえて2代目とイメージを変えなかった。その結果、何が起こったかというと、一部で「オールドファッション」と言われちゃったんです。

小沢 ダメですね。革新SUVのRAV4がオールドファッションじゃ。

佐伯 だから今回は原点に立ち返り、新ジャンルのパイオニアになろう、チャレンジしようと思ったんです。「この先もたぶん延長線上に来るんだよねえ」というようなことをやっちゃいけない。「ワォ!」にならないと。

小沢 常にお客を驚かせたいんですね。

佐伯 いい意味でお客様を裏切りたい。確かに去年お陰様で全世界で年間80万台以上も売れ、北米でいちばん売れたトヨタ車となりましたが、だからこそ攻めなきゃいけないだろうと。

小沢 そこが大変で、一度勝つと守りたくなったりしませんか。

佐伯 逆に負け試合が続くと全てがネガティブになっちゃうじゃないですか。負け続けている野球チームがあったとして、ここで新人ピッチャー入れようか、となった瞬間、「また負けちゃうかも?」って気分になりますよね。でも勝ってるチームに新人ピッチャーを先発で入れたとして「もしや?」って期待感は出ませんか。

小沢 勝ってる時こそ勝負に出るべき! だと。 

佐伯 そうです。だから今回は攻めるんです。

小沢 相当な勝負師じゃないですか。

佐伯 いやいや(笑)。

小沢コージ
 自動車からスクーターから時計まで斬るバラエティー自動車ジャーナリスト。連載は日経トレンディネット「ビューティフルカー」のほか、「ベストカー」「時計Begin」「MonoMax」「夕刊フジ」「週刊プレイボーイ」、不定期で「carview!」「VividCar」などに寄稿。著書に「クルマ界のすごい12人」(新潮新書)「車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本」(宝島社)など。愛車はロールス・ロイス・コーニッシュクーペ、シティ・カブリオレなど。

(編集協力 北川雅恵)

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