嵐・関ジャニ∞… 男性アイドルを阻む「40代」の壁
男性アイドルで異色の高齢化を見せるのが、ジャニーズ事務所に所属するメンバーたちだ。かつては20代を乗り超えることが1つの壁だったが、今は「40代」が大きな壁になっているようだ。
女性アイドルが活動を続けるなかでの卒業の決断は、20歳前後と25歳前後──そんなトレンドが見えたが、男性アイドルは全く違う傾向にある(関連記事「卒業は20歳と25歳 女性アイドルグループ決断の時」)。表は、2018年から19年にかけてグループからの卒業や活動休止を発表した主な男性アイドルの例。特徴的なのがジャニーズ事務所所属のアイドルたちで、留学による活動休止中の岡本圭人(Hey! Say! JUMP)こそ20代だが、そのほかはいずれも30代後半だ。
例えば、渋谷すばるは「音楽を追求するために、海外生活したい」と37歳で関ジャニ∞を脱退した。タッキー&翼は17年に活動休止に入り、18年9月に解散。このときの年齢は今井翼、滝沢秀明ともに36歳だった。さらに滝沢は18年をもって芸能界引退を決め、ジャニーズJr.の育成や舞台プロデュースなど裏方業に専念することに。現在は、傘下の「ジャニーズアイランド」の社長に就く。
話題を集めたのが嵐だ。1月27日、「20年12月31日をもって活動を休止する」と発表。同日夜の会見では、17年6月頃から活動休止についての話し合いがあったと明かされた。グループ最年長である大野智の年齢は、その時点で36歳。20年末の活動休止時には、メンバーの平均年齢は38歳となる。
40歳を超えての継続も
ジャニーズアイドルの高年齢化はいつ始まったのか。歴代のグループを調べると、80年代に活躍したシブがき隊は、解散時の平均年齢が22.3歳と若く、デビューから解散までの活動期間は約6年だった。光GENJIや男闘呼組も平均年齢25歳以下で解散。80年代デビュー組にとって25歳が1つの壁だったと推測される。
劇的な変化をもたらしたのはSMAPだ。96年、森且行がオートレーサーに転身するため22歳で脱退したが、これは当時の平均的な脱退年齢と言える。以後、メンバー5人で活動を続け、解散時の平均年齢は42.4歳。SMAPは90年代にテレビの歌番組が続々消えるなか、各メンバーが俳優や司会など活躍の場を広げて、アイドルの寿命を大幅に伸ばした。
その後にデビューしたTOKIOやV6、KinKi Kidsは40代でも活躍しているが、一方で「40の壁」の厚さを物語ったのが最近の一連の報道と言える。しかし、V6のようにメンバーの過半数が既婚者というグループも出てきており、ジャニーズを取り巻く環境は確実に変わりつつある。彼らが見せてくれる新時代のアイドル像に期待だ。
(ライター 横田直子)
[日経エンタテインメント! 2019年5月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。