「とりあえず夏インターン」 21年卒就活早くも号砲?

2019年卒を対象にしたリクルートキャリアの調査

政府は3月、インターンを通じた選考が就活の過度な早期化につながると懸念し、経済団体や業界団体に採用直結インターンの自粛を求めた。しかし学生からすればインターンと内定の関係はもはや常識とも言える。「人気企業のインターンの倍率は本選考よりも高いと聞くので、片っ端から出そうと思っている。インターン選考で悪い評価だと本選考にも響くと聞いたのでしっかり対策していきたい」(慶応大3年の男子学生)というのが、少し意識の高い学生の標準的な考え方と言えそうだ。

■企業も学生も夏インターン戦線へ突入

学生争奪戦を勝ち抜く必要のある企業の側も、苛烈なインターン戦線に巻き込まれている。

「どこよりも成長できるインターンですよ!」「うちのインターンはたくさんの社員に会えます!」

5月18日、東京・池袋で開催された合同企業説明会「みん就フォーラム」(楽天主催)の会場は異様な熱気だった。各社は夏インターンに学生を呼び込もうと、必死に勧誘していた。「去年(18年)開催した際は、ここまで声が鳴り響く感じではなかった」と楽天の担当者も驚く。

出展企業も三菱UFJ銀行、ホンダ、ニトリ、SCSKなど人気企業がずらり。「以前はこの時期の出展企業はベンチャーが多かったが、経団連加盟企業が年々増えている」(楽天・キャリアエージェント課の福地茂樹ヴァイスシニアマネージャー)という。

21年卒の就活生に対しては、3月の広報解禁、6月の選考解禁というルールを経団連にかわり政府が定めているが、「守る意味がない」と考える企業が多いようだ。

就活情報サイトにも異変があった。18年までは、ほとんどのサイトオープンは6月1日だった。ところが、今年(19年)は4月から学生の登録が可能になり、5月にはインターンへの「先行予約」までできるようになった。10社以上のインターンにプレエントリーした専修大の男子学生は、3年生になってすぐの4月から業界研究を始め、IT(情報技術)業界に的を絞っている。

■大学4年間、終わりなき就活の時代に?

スピードを増すインターンと就活の流れの中を、学生は泳ぎ切れるのだろうか。

「3年生になりせっかくゼミが始まったのに、もう就活かと正直思う。今はインターンに行くのが当たり前で、行かないことが不利になるからやらざるを得ないけど、インターンの意味を本当に分かっているかと言うと……」(慶応大3年男子)という声も聞かれる。

経団連が22年卒以降の学生を対象に通年採用を拡大して脱一括採用に向かうことで大学と合意したのは、学生の本分である勉学に集中できるようにという意図もあったようだが、「ルール廃止と売り手市場が相まって、さらに早期化が助長される」(採用アナリストの谷出正直氏)との見方がある。これでは本末転倒だ。

それでも、今の流れは止まりそうもない。谷出氏は「企業はインターンで大学1~2年生にアプローチすることを考え始めるだろう」とみている。実際、学生の側は企業の動きを先読みしている。中央大2年の男子学生は最近、ネットで長期インターンの募集を探し始めた。「通年採用になると早稲田や慶応などの限られたトップ校の学生が優良企業の内定を根こそぎ持って行き、自分は不利になるんじゃないか」と考えたからだ。

この先に待っているのはどのような世界なのか。「優秀」な学生は1~2年生のうちに内定を獲得できるが、「その他」は大学生活の4年間を就活に費やすことになる――。広がる期待、不安、疑問が入り交じりながら、ルールなき就活市場が迫りつつある。

(安田亜紀代、田中裕介)

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