日本マイクロソフトでは、「メールやウェブ検索、動画視聴、ワードやエクセルが使えれば、それでいいと考えるユーザーが多い。だが、最新のPCでは、AI(人工知能)の機能を活用した顔認識機能によって、蓄積した大量の写真から、子供が写っている写真だけを抽出したり、ワードの文書を60カ国以上の言語に直接翻訳したりといった使い方もできる。さらに、今後の働き方はコラボレーションを中心としたものになると言われるなかで、最新PCでは、それに最適化したツールも搭載している。小学生が社会人になるときには、65%の職業がなくなり、新たに生まれる仕事の多くが、ITやクラウド関連に付随する職種になると見られている。子供の教育のためにも、最新PCを利用することを薦めたい」とする。

マイクロソフトのSurface Laptop

また、最新PCであれば、薄型、軽量、長時間バッテリー駆動を実現したり、タブレットにもなる2in1型の構造を採用することで、モバイル利用にも最適化したりといった特徴を持つほか、フラッシュ・メモリーをディスクに使うソリッド・ステート・ドライブ(SSD)やマルチメディアカードの一種、eMMCを搭載することによって、高速に起動するのに加え、衝撃に強く、持ち運びにもより向くようになる。さらに、タッチやペン、顔認証や指紋認証などの最新機能を搭載し、直感的な操作や高いセキュリティーを実現している。

日本マイクロソフトでは、こうしたPCを「モダンPC」と表現。「機能性と美しさを備えた安心快適なPC」と定義している。同社によると、国内ではPCメーカー13社から、100機種以上のモダンPCが発売されているという。

都市部と地方との間で格差

しかし、先にも触れたように、こうした最新機能の良さが伝わっていないため、最新PCやモダンPCへの買い替えが進まないのが実態だ。しかも、地方に行けばいくほど、その傾向が強いという。

実際、内閣府の消費動向調査でも、PCの平均使用年数は、関東では6.4年と全体平均を下回っているが、北海道・東北では8.0年、九州・沖縄でも7.5年となるなど、地方での買い替えサイクルの長期化が目立つ。

量販店の販売動向を調査しているBCNのデータでも、その傾向が見てとれる。

地域ごとのノートPC画面サイズ別シェア(BCNのデータから作成)

2019年4月の販売データによると、15型のノートPCの構成比は、東京圏では34.9%と約3分の1に留まっているのに対して、東京、名古屋、大阪を除く、その他地域では67.8%と、3分の2を占める。

また、東京圏では、PCの平均単価が12万4300円であるのに対して、その他地域では11万5900円となっている。

パソコンの地域別平均単価。BCNのデータから作成

東京圏では、モダンPCと呼ばれる製品をはじめとしたプレミアム製品の比率が高い一方で、地方では、普及価格帯の15型ノートPCが中心に売れていることがわかる。

この背景には、最新PCの機能や利便性が地方にまで浸透していないことや、地方の量販店店頭では、15型ノートPCの展示が中心となり、選択肢が少ないことなどがあげられる。

アップルのシェアが高い東京圏

そして、もうひとつ特筆できるのが、東京圏ではアップルのシェアが高い点である。

2019年1~3月の販売データによると、東京圏におけるアップルのシェアは、ノートPCでは18.7%で首位、デスクトップPCでは同じく18.7%のシェアで2位。だが、その他地域では、ノートPCでは6.9%で5位、デスクトップPCでは7.5%で4位となっている。実に、10ポイント以上もの差がついている。

デスクトップの地域別メーカー別シェア。その他は東京圏、名古屋圏、大阪圏以外
ノートPCの地域別メーカー別シェア。その他は東京圏、名古屋圏、大阪圏以外

デザイン性に優れたアップルが、都市部で販売を増加させている点も、普及モデルといえる15型ノートPCの構成比が都市部で低いことにつながっている。

PC業界としての課題は、地方における買い替えサイクルの短縮化と、モダンPC比率の上昇といえる。そのためには、最新PCの魅力をしっかりと伝える努力が必要だ。

(ライター 大河原克行)

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