「自分投資」成功女子 私、ココにお金をかけました
何にお金をかければ、自分にメリットがあるのかが分からない人も多い。自己満足だけに終わらず、「自分投資」で人生が変わった人に、「お金のかけどころ」を聞きました。
【ケース1】ライタースクールで「伝える技術」が身に付き、マネージャーに昇格
岩井恵莉子さん
31歳/ひとり暮らし
リラクゼーション関連の店舗などの企画からデザインまでを手がける岩井恵莉子さん。チーフとして部下を指導しながらコピーのセンスも磨きたいと、3年前にライタースクールへ通い始めた。「チーム内に足りないのは商品を魅力的に見せるコピーの力。そのスキルさえ身に付ければチーム力はもっと上がると考えました」
授業料は半年で10万円。高い投資だったが、その分を仕事の成果で取り戻そうと取り組んだ。すると、授業で学んだ「伝わるコピーの書き方」が実務以上に部下の育成の場面で役立った。「離職する部下が相次ぎ悩んでいたのですが、相手の気持ちを考えず自分が伝えたいことだけを一方的に伝えていたことに気づきました」
伝え方を変え、部下から話しかけやすい雰囲気づくりを心がけた結果、離職率ゼロに。岩井さんのマネジメント力が社内で評価され、昨年末マネージャーに昇格した。「現状を変えたいという思いがあったからこそ、学びがチーム力アップにつながりました」
Close up! 人生を変えた自分投資
【きっかけは?】キャッチコピーの作り方が仕事で必要なスキルだったから
デザインチームに刺さるコピーを書ける人がほぼおらず、「私がそのスキルを身に付けて、チーム全体のスキル向上につなげたいと考えました」
【どんなリターンがあった?】「伝え方」の重要性を知り、部下の離職率がゼロに
「言いたいことだけを一方的に伝えるだけでは相手に伝わらない」ということを授業で学び、部下の育成や仕事に生かせた。
ライタースクール 約10万円/6カ月
家賃 5万円→10万円/月
家賃をアップして「疲れが取れる家」に
以前の住まいから家賃を5万円アップし、通勤時間を15分短縮&広めの間取りに住み替えた。ダブルベッドやソファも購入し、「リラックスする時間が増えました」
岩盤ヨガ 3500円/1回(月2回)
冷え性が和らぎ目の下のクマが薄くなった
激しい運動が苦手な岩井さんが通い始めたのが、岩盤ヨガ施設「ゼロヨガ」。じんわり汗をかくことで基礎代謝が上がり、気持ちもリフレッシュ。「冷え性が改善され、目の下のクマが薄くなった気がします」
ストレッチ 1万5000円/月(月2回)
自分では伸ばせない筋肉も伸ばし、肩こりや気だるさが軽減
「ストレッチ専門店の『ドクターストレッチ』で、自分ではなかなか伸ばせない筋肉も伸ばしてもらうことで、ほぐすだけでなく、インナーマッスルも鍛えられている感じが。肩こりや気だるさも軽減しました」。マッサージに通うこともなくなったそう。
年間の服飾費は約1万円 ユニクロ、GU、ZARAの10着を年間で着回す
プチプラ服を選び、クローゼットには上下合わせて約10着のみ。「通勤コーデは5通りに絞り、着回します。コーディネートに迷う時間もゼロに!」
不要な家電は持たない 洗濯機やテレビを捨て電気代を節約
引っ越しと同時に洗濯機を捨て、洗濯は手洗いに。「YouTubeを見ながら洗濯する時間が今では気分転換に。テレビや電子レンジも捨てました!」
コスメ代は年間1万円 プチプラの化粧水をたっぷり使う
以前は高価格帯のスキンケアコスメを使っていたが、「化粧水をケチケチ使うよりバシャバシャ使いたいと思い、プチプラコスメに替えました」
【ケース2】ベリーダンスに200万円投資し、自信と第2の肩書を手に入れた
照沼かおりさん
35歳/夫と2人暮らし
個人間で「スキル」を売り買いするスキルシェアサービス運営の「ココナラ」で経理・財務リーダーを務めながら、プロのベリーダンサーとして活躍する照沼かおりさん。29歳でベリーダンスを習い始めてすぐ講師に素質を認められ、32歳でプロに転向。3万円の月謝や1着3万~10万円の衣装代にお金を費やし、さらに自主練用のスタジオを作るためプラス家賃2万円の2DKの物件に引っ越した。6年で200万円以上をダンスに投資したが、そのリターンは十分あったという。
「コンプレックスだったぷっくりしたお腹や肌の黒さも、個性と捉えて美しく見せられるのがベリーダンス。自分に自信が持てるようになりました」。さらに観客の前で踊り、生徒に教えることでコミュニケーション力や表現力が磨かれ、堂々と仕事の取引先と交渉できるように。「ダンスと仕事の両輪で毎日が充実すると心に余裕が生まれ、人と自分を比べなくなる。周りから笑顔が増えたねと言われます」
Close up! 人生を変えた自分投資
【きっかけは?】学生時代から習っていたサルサを上達させるため
学生時代に始めたサルサを上達させるために、ベリーダンスを習い始めた。終業後、家の近所の教室に週3回通い、プロに転身。現在もレッスンは受けている。
【どんなリターンがあった?】体形や容姿に自信がつき、胸を張れる強みを手に入れた
「ベリーダンスが上手な経理リーダー」と取引先からも覚えてもらえ、自信を持って仕事にも取り組めるように。「心身ともにタフになりました」(笑)
ベリーダンス 約200万円/6年間
家賃 2万円アップ/月
経理やマネジメント関係の書籍代&有料ネットニュース 7000円/月
専門性を磨くため書籍などで独学
経理やファイナンスなどの専門性を磨き、管理職に必要な交渉術なども学ぶため、書籍や有料のネットニュースなどを利用し、毎日30分ほど勉強している。「週1回上司と面談し、指摘された足りない知識を補っています」
オンライン英会話 1万5000円/月(毎朝30分)
スキルシェアサービスで毎朝30分の英会話レッスン
南米に駐在経験もあり、英会話の勉強は継続中。今は自社のスキルシェアサービスを使い、毎朝30分オンライン英会話の授業を自宅で受講。「出社前に頭がフル回転するので、仕事にもすぐ取りかかれます」
ピラティス 1万4000円/月(8~12回)
ボディーワーク 1万円/回(月1回)
体を整えることを習慣化して病気にならなくなった
少しでも美しくベリーダンスを踊るためにピラティスやボディーワークに通い、インナーマッスルを鍛えたり、体の柔軟性を高めたり。「体を整えることを習慣化すると、風邪を引きにくくなりました」
美顔器 約5万円
歯列矯正(マウスピース)約70万円
人前に出ることが増えて美容への投資を増加中
レストランでベリーダンスを披露したり、管理職として銀行などの取引先と打ち合わせをしたりすることが増え、「見た目も大事」と美容への投資が増加している。「月1回4000円払って美容鍼(はり)にも通い始め、顔のたるみが軽減しました」
ワンシーズンの洋服代は1万5000円 スーツの下に着る薄手のシャツのみを買う
以前は、ストレスがたまれば衝動的に洋服を買っていたが、今はほとんど買わない。「スーツの下に着られる薄手のプチプラ服を着回しています」
ランチ代は月3000円 「外食→お弁当」で午後の集中力アップ
以前は毎日1000円以上のランチを食べていたが、今はお弁当を持参。「食事の量が減って午後は眠くならなくなった」
飲み物代は0円 水筒を持参してコーヒー代を削減
チェーン店のコーヒーなどを買うのをやめ、飲み物は水筒にお茶を入れて持参するように。「チリも積もれば、大きなお金になります!」
【ケース3】「玉ねぎ丼」でマクロビ料理にハマり、健康と充実した日々を手に入れた
金指(かなざし)安里さん
30歳/ひとり暮らし
食品会社で商品開発を担当する金指安里さん。乳製品アレルギーを発症したのを機に、3年前から玄米や豆類、野菜などを使うマクロビオティック料理教室に通い始めた。「初級コースは座学の勉強が多く、料理の見た目も地味で正直つらかった」(笑)。しかし、ある料理との出合いで一気にマクロビの世界に魅了される。それが「玉ねぎ丼」だ。「玉ねぎをしょうゆでいためるだけであんなに甘みが出るとは衝撃的で! 中級コースに進むと彩りのよい料理を教わり、楽しくなりました」
上級、師範コースを卒業し、今はマクロビのお菓子教室に通う。「トータル45万円もかかったけれど、学んだ知識を生かした自炊生活を機に体調が良くなり、一時年間10万円ほどかかっていた医療費も数千円に大幅ダウン。外食費も今は月3000円ぐらいに」。マクロビ仲間やインスタで知り合った人と食の話をするのが楽しいと金指さん。「自分の体をつくるための投資の先に、こんな充実した日々が待っているとは思いませんでした」
Close up! 人生を変えた自分投資
【きっかけは?】アレルギーで体調不良になり、食の知識を学びたかったから
乳製品アレルギーの改善はもちろん、同時期に食品会社に転職したことで、食の知識を増やして仕事に生かせたらという、気軽な気持ちでマクロビ教室へ。
【どんなリターンがあった?】医療費&外食費が削減され、商品開発の仕事にも役立った
健康を手に入れ、医療費&外食費削減に。自炊した料理をインスタに上げることで盛りつけが上手にも。「商品開発の仕事にも食の知識が役立っています」
マクロビ料理教室&マクロビお菓子教室 約45万円/3年間
調理器具 約3万円/3年間
おいしさを追求した機能性の高い調理器具
少しでもおいしいものをという思いが募り、3年で3万円かけて調理器具をそろえた。「小豆や玄米がふっくら炊ける土鍋や、野菜スープの具材がトロトロに炊けるフィスラーの鍋がお気に入り」
食器 約2万円/半年
盛りつけセンスを上げる食器
以前は100円均一の食器を使っていたが、自炊をインスタで公開するために盛りつけを意識。約2万円かけて食器をそろえた。「オムライスならこのお皿かなと具体的にイメージして選びます」
カフェ英会話 500円/1回(週3回)
人と話すことの苦手意識がなくなった
英会話力を伸ばし、さまざまな人に出会いたいと、5年前から早朝に開催している「カフェ英会話」に週3回通い続けている。「多様な年代・職業の人と会話する時間が、仕事のプレゼンなどにいい影響を及ぼしています。今は運営スタッフとして参加中」
サーキットのジム 5500円/月(週3回)
ヨガの資格取得 約100万円/1年
筋肉や体力がついて仕事にも精力的に取り組む
体調不良になってからヨガを始め、100万円かけてインストラクターの資格を取得。今は月1回ヨガを教えている。2年前からジムにも通い始めた。「筋肉をつけようと、週3回ほど通っています。ごはんがおいしく食べられます」
自炊を増やし、外食費を月3000円までに抑える
自炊を増やしたおかげで外食費が大幅に削減。「その代わり、友人を招いて食事を振る舞ったり、オーガニック野菜を買ったりすることにお金を使います」
ブランド品の洋服をメルカリで半額で購入
以前はデパートで月2万~3万円ほどの洋服を購入。「今はお気に入りのブランド品をメルカリで売り買いして、洋服代を月1万円以内に抑えています」
(構成・文 高島三幸、写真 鈴木愛子=岩井さん、古末拓也=照沼さん、小野さやか=金指さん)
[日経ウーマン 2019年3月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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