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加賀屋の小田與之彦社長

上質な「おもてなし」で有名な石川県・和倉温泉の「加賀屋」(七尾市)。旅館4軒、グループ従業員1000人を率いる小田與之彦社長(50)は5代目として、旅館のなかで暮らし育った。物心ついたときから「跡継ぎ」であることを当たり前のことと受け止めていた半面、大学卒業後は「海外に出たい」と商社に就職、米国留学まで果たす。そこで得た知見は加賀屋をけん引するリーダーシップの基礎となった。

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――自分が跡継ぎだと気づいたのはいつですか。

「小さいときからずっとそう思ってきました。子供のころは旅館の建物の中で暮らし、休みなく働く祖父母や両親、現場の社員たちを見ながら育ちました。保育園時代、祖父が2代目社長で父が専務(のちの3代目社長)だったのですが、『将来なにになりたいか』という質問に私が『加賀屋の専務』と答えて、先生が椅子から転げ落ちるように大笑いしたこともありました」

「でも、私は笑わせたくて言ったわけではなく大まじめにそう思っていたのです。このあたりでは長男が家を継ぐのが当たり前でしたから、継ぎたくないと思ったこともなく、小さいころは『4代目』と呼ばれていました。その後、叔父が4代目社長になったので、私は5代目として2014年に社長に就任しました」

「加賀屋のために動こう」と思ってもらうために

「周囲から『あいつが小田家の長男でなかったら、社長にはなってほしくない』と思われるようでは駄目だと思っているんです。『ここで一緒に働きたい』『この人が言うことは共感できるから、自分も加賀屋のために必死に動こう』と社員に思ってもらうには、私自身に説得力がなければならない。そのため、自分の言動が矛盾しないようにすることを徹底的に心がけるようにしています。社員の評価では、公正公平で透明性を高めることも不可欠になるでしょう。日々、試行錯誤の連続ですね」

「私には中学1年の息子が一人いますが、息子も会社を継ぐと思っているようです。『石川県の役に立ちたい』なんて言っていますから。でも、私の子供時代から今日までの数十年と比べて、おそらくこれからの数十年の方が時代の変化はずっと大きいのだろうと思います。初めから家を継ぐことだけを考えるのではなく、可能性は広く無限に考えたほうがいいのではないかと思っています。ですから、経営やリーダーシップついて、息子に話したりはしていません。それよりも、まずは人に信頼されて、人の役に立てるような人間になれと言っています」

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