シャトレーゼ、最大85%糖質カットのピザ
シャトレーゼ(山梨県甲府市)が、従来品よりさらに糖質をカットしたピザ新製品を2019年4月25日に発売した。今後は健康志向が高まるアジアでも積極展開する計画だという。
カロリーも抑えたが、チーズ増量で香り高く
スイーツを中心に約400種の商品を扱うシャトレーゼ。糖尿病等で糖質制限を余儀なくされている人に、「安心してお菓子を食べてほしい」という願いのもと、09年に糖質をカットした商品を開発・販売した。
その後、食事の代替品が欲しいという利用者の要望で、12年に糖質カットのパンを、そして15年に業界初となる糖質カットのピザを発売した。「パンは、そのままでもおいしいが、ベーコンや卵など糖質の少ないものを挟んで食べる人が多い」と、シャトレーゼ研究開発課の小松彩華氏。あらかじめ具が載っていて、焼くだけで食べられるピザが人気を伸ばしていることから、従来品よりもさらに糖質をカットした新製品の発売を決めた。
新発売のピザは全2種で、従来品に比べ、どちらも糖質をさらにカットするとともにカロリーも抑えた。「糖質 83%カットのピザ マルゲリータ」は、リニューアル前の糖質81%カットのものより、チーズを5%増量させた。「糖質 85%カットのピザ 5種のチーズ」は、従来の「糖質 84%カットのピザ 4種のチーズ」に、「ゴルゴンゾーラチーズ」を加え、チーズを5種にした。
糖質カット商品と聞くと、味にネガティブな印象を持ってしまうが、どちらもチーズの香り高く、味も糖質カットではない商品と変わらない。言われなければ、わからないだろう。生地はパン生地のように、もっちりしていた。
現在ではケーキをはじめ、プリン、アイスクリームなど多彩な糖質カット商品をラインアップする。売り上げは年々増加しており、直近の伸び率は前年度比で3割増だと同社販売戦略部長の中島史郎氏は語る。
一番人気の商品は、スイーツを抑え、パンだという。その理由として小松氏は「スイーツは我慢できるが、食事はとらなければならない。食事に代替でき、安心して食べられる商品が人気なのでは」と分析する。シャトレーゼ公式のオンラインショップでの販売数は、糖質カット商品の比率が全体の約4割という。
健康志向が高まる海外へ
今後は日本市場だけでなく、「海外にも糖質カット商品を展開していきたい」と中島氏は話す。「特にアジアで健康志向の人が増え、(糖質カット商品の)マーケットが広がりつつある」(中島氏)。現在シャトレーゼは、海外の9カ国・地域で約60店舗を展開するが、国によって使用できる原材料に制限があるため、現在はベトナムのみで糖質カット商品を扱っている。ベトナムで展開されている糖質カット商品は、糖質70%カットのアイス(バニラ・宇治抹茶)と、糖質82%カットのプリン、キャラメルナッツクリームの3種を販売する。
原材料制限の壁を乗り越えるためには、材料を変え、再開発を行う必要がある。時間がかかりそうだが、糖尿病患者が増えつつある東南アジアでは今後、大きな需要が見込める。海外販売できる糖質カット商品を作り、新たな市場の開拓に挑む考えだ。
(日経クロストレンド 松野紗梨)
[日経クロストレンド 2019年5月16日の記事を再構成]
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