学部の種類は50年で8倍に 志望大学はどう選ぶ

石渡嶺司 大学ジャーナリスト

石渡嶺司 大学ジャーナリスト
2019/5/29

大人は知らない大学の話

写真はイメージ=PIXTA
写真はイメージ=PIXTA

大学の学部の種類がこの50年で8倍以上にもなっていることをご存じですか?特に高校生の皆さんは、どの学部を選んだらよいのか戸惑ってしまうかもしれませんね。

実際、親御さんのほうも分からなくなってしまうようです。全国の高校・大学で講演をしていますが、高校の保護者向け講演をすると質疑応答で間違いなく出てくるのが「●●学部(学科)というのがよくわからないのですが……」という学部・学科についての質問です。

保護者や高校生が分からないのも当然です。1966年、学部の種類はわずか63しかありませんでした(文部科学省学校基本調査)。それが2018年には526と急増しています。学科は学部よりも細分化され、3000を超えています。

あまりにも細分化されており、学部・学科の名称だけでは、教育内容や就職先について想像ができないのは無理もありません。保護者や高校生本人どころか、高校の進路指導担当教員ですら全て把握できていません。

■学部学科が増えた理由は?

ここまで学部学科が増えた理由としては「規制緩和」「大学の広報戦略」「社会の変化」の3点が挙げられます。

まず規制緩和ですが、1990年以前は学部・学科の種類数は限られていました。新設時に新たな名称を付けようとしても文部省(現・文部科学省)から厳しく制限されていたのです。

それが1991年に大学設置基準が変更となりました。これにより、学部・学科の種類数が一気に増えることになります。それまでは論外とされていたカタカナ学部名も認められるようになりました。

2点目は、大学の広報戦略です。少しでも新学部・新学科の独自性を出そうと、各大学は学部・学科名にこだわるようになりました。その結果、その大学以外に存在しないオンリーワン学部が多数を占めるようになったのです。

3点目は社会の変化です。社会の情報化・複雑化が進むにつれて大学も変化するようになりました。学部・学科についてもそれまで注目されていなかった分野が学部・学科として独立することが多くなったのです。その逆に、それまでは学部・学科だったものが注目されず、学科ないしコース・専攻に降格していくことも増えていきました。

1990年代以前は専門学校が教育の主を担っていたジャンルが大学に移行している、という現象も見られます。例えば、マンガは専門学校が主でしたが、2000年に京都精華大学がマンガ学科を開設。当時は「大学でマンガなんて」と非難する意見も多数ありましたが、現在では京都精華大学のマンガ学部に昇格し、マンガ関連の学部・学科は15校まで広がっています。

これらの理由によって、日本の大学における学部・学科は保護者や高校生が理解できないほどにまで、種類が増えていきました。

志望校の候補にするための3つの視点

では、保護者・高校生が新設学部・学科を志望校候補とするかどうか、その判断をするためのポイントも3点あります。「前身学科」「文理融合」「入学後の生活」です。