苦労は栄養 9人組アイドルGANG PARADEデビュー

苦節5年――。『ブランニューパレード』で4月17日にメジャーデビューを果たした9人組アイドルグループ、GANG PARADE。幕張メッセで1万7000人を動員するBiSHと同じ事務所のWACKに所属する。結成からわずか3年でアリーナに到達したBiSHと比べ、14年の結成(当時のグループ名はプラニメ)から2度の改名、メンバーの脱退・加入を経て5年目でようやく念願のデビューを手にした。

左上から時計回りに、ユメノユア、カミヤサキ、ユイ・ガ・ドクソン、テラシマユウカ、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ヤママチミキ、ハルナ・バッ・チーン、月ノウサギの9人。2014年に元BiSのカミヤサキとミズタマリにより、プラニメとして結成。15年にPOPと改名し、16年に現在のグループ名となり、18年3月から現在の9人体制で活動を行う

彼女たちのコンセプトは“みんなの遊び場”。それはWACK所属のグループの作曲を手がけるサウンドプロデューサーの松隈ケンタ氏の実験性の高い楽曲にも表れる。BiSHと同じ王道のロックナンバーを歌いつつも中華風サウンドやロシア民謡を取り入れた楽曲にも挑戦。結成時からの唯一のメンバー、カミヤサキは「松隈さんがギャンパレを使って、いい意味で遊んでくれているので、必死に食らいついてきました」と振り返る。

またライブでは、辛さや苦しさだけでなく、観客に多幸感も味わってもらえることを意識している。昨年加入したばかりのハルナ・バッ・チーンは「歌詞に子猫が出てくる人気曲の冒頭では『一緒に踊ろう、ニャーン、ニャン!』と毎回あおることで、私たちのハッピーが“感染”する遊び場となるよう心掛けています」と語る。

メジャーデビューを聞いた時は「うれしさと、やっとだなという気持ちの両方を静かにかみしめました」(カミヤ)と明かす。ユメノユアも「インディーズ時代にやってきたことが間違っていなかったと改めて思えました」としみじみ語る。

メジャーデビューシングル『BRAND NEW PARADE』 これから新たに進む決意を陰と陽のサウンドで表現する。表題曲はメジャーコードの弾けるようなロックチューン。一方、カップリング曲『Dreamer』は対照的にダークトーンなギターサウンドの1曲(ワーナー/通常盤1000円・税別)

メジャーデビューシングル『ブランニューパレード』はストレートなロックチューンで、歌詞には彼女たちのこれまでとこれからが描かれている。「私たちを初めて知る人も多いと思うので『こう見えて野望しかないです』と歌うなど、自己紹介ソングとなっています」(ユメノ)。「『苦労は栄養』というフレーズが気に入っていて、歌詞の奥深さも楽しんでほしいです」(ハルナ)

個性あふれるボーカルワークにも注目だ。カミヤは2サビ終わりの間奏部分で、デスボイスを披露。ハルナは小学生のようなあどけなさが残る歌い方をして「楽器のように歌声を操る、私たちならではの特徴がうまく出せています」(ハルナ)。

WACKのグループはメンバーによる振り付けも特徴。カミヤが今作では難易度の高い動きを取り入れた。「手をつないだ前列の5人が腕を上げたところに、後列の4人が潜るように前へ出ていく。スピードを上げて繰り返すので、毎回成功するかをお客さんもドキドキしながら見守ってほしいです」(カミヤ)

「BiSHなどのWACK所属のグループは同士でありライバル。ただそこだけを意識せず、乃木坂46さんのようなグループとも知名度やセールス、ソロ活動などでも張り合える存在になりたいです」(ユメノ)と目標を語る。遅れてきた大型新人の今後の活躍に注目だ。

(日経エンタテインメント!5月号の記事を再構成 文/中桐基善 写真/藤本和史)

[日経MJ2019年5月24日付]

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