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著者に聞く 仕事の風景

使いがちなNGワード 「言い換え」で好感度は上がる 『仕事で「敵をつくる言葉」「味方ができる言葉」ハンドブック』本間正人氏

2019/5/29

本間正人氏

会話には流れがあるので、状況に応じて言葉を選ぶ必要に迫られる。本間氏は会話の心得を自動車の運転にたとえる。その際、心がけたいのは「センターライン」の感覚だ。相手を傷つけかねない無神経や、自分勝手な態度を「路肩」に見立て、端に寄らないよう車線を真ん中寄りに保つ走り方が望ましいと、本間氏はアドバイスする。

読書や会話を通じて不断に言葉遣いを磨き続けることによって、スキルが高まる。しかし、仕事でポジションが上がってくると、丁寧な扱いを受ける機会が増えて学びがおろそかになりがちだ。「医師や弁護士、国会議員など、『先生』と呼ばれるのに慣れきった人たちは、学習意欲が衰えて不用意な発言をしやすい。つきあう世界が狭いのも言葉の表現力を鈍らせる」(本間氏)。目線が高止まりしてしまうと、不遜な態度や命令口調の物言いにブレーキがききにくくなる。政財界で相次ぐ「失言」は、リーダー層にとって他山の石となりそうだ。

マーケティング感覚で言葉を選ぶ

立場や年齢、性別、文化的背景などの異なる人と意識的に対話の機会を持つよう本間氏は勧める。「言葉遣いは人間関係から学ぶのが基本。日ごろ、同じ話題を共有していない人と言葉や意見を交わすことによって、最終学習歴を更新できる」という。「会社の常識は世間の非常識」とよくいわれるが、会社カルチャーにどっぷり漬かってしまうことも「考え方の路肩に寄るリスクを伴う」と本間氏。知見や見識の面でも「センターライン」の見極めが重要なのだ。

乱暴な言動はパワーハラスメントに直結する。「悪気はなかった」「指導のつもりだった」といった言い逃れは通りにくい。「もはや誰もが会話を録音しているのが当たり前の時代。言葉をうまく扱えないリーダーに居場所はない」(本間氏)。働くモチベーションや権利の意識が異なる部下と接する場合、本間氏が勧めるのは「社内顧客」としての接し方だ。「部下のライフスタイルや仕事マインドを理解したうえで、マーケティング感覚で言葉を選べる。そんなリーダーであるか否かによって、チームのパフォーマンスに格段の差が出る」と「俺流」の言動を戒める。

リーダーの巧みな言葉遣いは、部下のポジティブな提案や意見を引き出すうえでも効果が大きい。「今はどんなビジネスでもイノベーションが求められている。部下からアイデアを提供してもらえないリーダーは自分の評価も下げてしまう」(本間氏)。「どこかで聞いたようなプランだな」「ひねりが足りない」「そんな商品、誰が買うの?」といった高圧的な物言いは部下を萎縮させ、価値ある提案を飲み込ませてしまう。「味方ができる言葉」を操るスキルはチーム運営の成否まで左右しかねない。

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