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状況に応じて言葉を選べば笑顔が増える。写真はイメージ=PIXTA

状況に応じて言葉を選べば笑顔が増える。写真はイメージ=PIXTA

失言が命取りになるのは、政治家に限らない。ビジネスシーンでも心ない発言が仕事を邪魔しがちだ。コーチングに詳しい本間正人氏は著書『仕事で「敵をつくる言葉」「味方ができる言葉」ハンドブック』(PHP研究所)の中で、具体例を挙げながら、職場でのNG発言とその言い換え案を示した。働き仲間から嫌われない言葉遣いのポイントを、本間氏から教わった。

無神経な言葉を発する人の特徴は

『言いづらいことの伝え方』『社長の言葉ハンドブック』など、言葉遣いの指南書をたくさん書いている。コーチングの専門家で、京都造形芸術大学の副学長も務める。本書はビジネスパーソンが押さえておきたい言葉選びの実践的ノウハウを盛り込んでいて、即効性が高い。「無神経な言葉を発する人は本を読まない傾向にある。言葉の操り方を微調整するだけで精度がぐっと上がる。そういう人こそ、本を読んで学んでほしい」と期待する。

職場での物言いには、時として勇気が必要になる。とりわけ、忠告や反対意見など、相手の意向に逆らうような発言は反発を買うリスクをはらむ。つい口ごもったり、飲み込んだりしてしまいがちだ。本間氏は「嫌われたくないという意識が働いて、ブレーキをかけすぎるきらいがある。常に『沈黙は金』とは限らない」と指摘している。

それでは、職場でのいさかいは避けたいという場合にどういう言い方が望ましいのか。「You(ユー)メッセージは避けよう」と、本間氏はアドバイスする。語りかける相手を二人称(あなた、君)で主語に据えて、「あなたの態度は気にくわない」「君の仕事ぶりは不満だ」といった具合に指摘するのが「Youメッセージ」だ。言われた相手には「コントロール・指図されたくない」という反作用が働く。そして「売り言葉に買い言葉」的な構図が生まれやすい。結果的に以後の応酬はとげとげしくなる。本来の伝えたい中身よりも表面的な態度がいさかいの「主役」を奪ってしまうから、話の目的を達成しにくくなる。まさに本末転倒だ。

正面衝突を避けやすい「一人称」

一方、本間氏が提案する、一人称の「I(アイ)メッセージ」は正面衝突を避けやすい。発語者が自分を主語に立てて、「私は残念に思います」「(私は)つらいです」「ちょっと傷つきました」と、相手に語りかける話法だ。直接的に相手をとがめだてはしないものの、「不愉快だ、困った、やめてほしい」といった思いは伝わる。発語者の痛みや戸惑いを感じ取ってもらいやすいから、相手側から再発防止につながるアクションを自発的に引き出す効果も望める。

トラブルを避けようとおじけるあまり、職場での言葉数を減らすのは得策ではない。「場数を踏まないと、言葉遣いも上達しない。アウトプットの回数と機会を増やすよう意識的に取り組んでほしい」と、本間氏は実地訓練を勧める。職場の雰囲気ごとに会話のテイストも異なる。冗談交じりが当たり前の現場もあれば、クールな物言いが「主旋律」のオフィスもある。ただ、「気を回しすぎると、ペースが遅くなる。全体の6割程度との同調が保てていれば、過剰に空気を読んで言葉を自制する必要はない」(本間氏)

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