堺屋、梅棹ら名著で鍛える思考力 ビジネスに効く文庫第1回 教養が得られる名著

土井英司氏(米ニューヨークのメトロポリタン美術館で)
土井英司氏(米ニューヨークのメトロポリタン美術館で)

手頃な価格とハンディーサイズで、出張や旅行のお伴に最適な「文庫」。経済や歴史の古典的名著やベストセラーになったビジネス書など、仕事に役立つ書籍も数多くそろっている。ビジネスに役立つ本を紹介するメルマガ「ビジネスブックマラソン」を運営する土井英司さんに、「仕事に効く」文庫を5回連載でガイドしてもらう。第1回の今回は「教養が得られる名著」を選んで、読みどころを解説する。

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せっかく経済・歴史の古典名著やかつてのビジネス書ベストセラーがたった数百円で手に入るのだから、それを紹介しない手はない。この企画では、ランキングに埋もれてしまっている「本当に使えるビジネス文庫」を、毎回ジャンルごとに紹介したい。近いうち、書店のビジネス書のフロアで、「ビジネス文庫」の棚ができることを切に願っている。第一回目の今回は、「教養」が得られる名著をいくつかご紹介しよう。

戦国時代を経済史から読み解く

まずご紹介したいのが、先日惜しまれながら亡くなった堺屋太一氏による『歴史からの発想』(日経ビジネス人文庫)。堺屋氏は、上海に抜かれるまで世界一の集客数を誇った大阪万博の仕掛け人であり、元通商産業省(現・経済産業省)の官僚。『団塊の世代』『平成三十年』をはじめ、数々のベストセラーがあるが、なかでも読み応えがあるのは、歴史に関する本だろう。

堺屋太一氏著『歴史からの発想』

若い人のなかには、「古いものを読んで何の役に立つのか?」と思う方もあるかと思うが、先に答えを言えば、考えるための「軸」を持つためである。

本書の「はじめに」を読めば、未来予測の達人だった堺屋氏が、「技術」「人口」「資源」の変化に着目していたことは明白であり、これに変わらない「人間の本性」を加えれば、予測はより精度を増すことがわかる。この「はじめに」は、堺屋氏による歴史ガイドであり、29ページまでを読むだけでも、十分元は取れるだろう。

そして本書を今、読むべき理由は、本書が「戦国時代」から始まっていること。戦国時代と言えば、ついつい戦国武将たちの華やかな活躍に注目が集まってしまうが、堺屋氏は、こう述べている。

「我々の史家と作家と芸人とが、この時代の英傑と活劇についてあまりにも多く語り過ぎたが故に、その背後にあった文明の進歩と経済の成長とは忘れられがちである」

堺屋氏によれば、戦国時代というのは、足利幕府の体制が老朽化していた時代。中央の保護を失った地方が経済力・軍事力を持って自立した結果、「実力主義」「下剋上」の戦国時代が登場したのだ。

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