やってるのに妻不満 夫婦のズレ生む「名もなき家事」経済コラムニスト 大江英樹

しかしながら男性の側から弁護させてもらうと、一連の作業をやったことがないから分からないのです。もし夫にやらせようと思うのであれば、手順について説明してあげることが必要でしょう。

今の若い世代は共働き夫婦が珍しくないため、こうした名もなき家事の分担についてもきちんと話し合って決めているケースが多いと思います。問題は定年後のシニア男性です。彼らの多くは結婚後に妻は専業主婦というケースが多かったので、あまり家事の経験はありません。

男性は名もなき家事をもっとするべし

仮に定年を機に家事をすることになっても、前述のように「料理」、「洗濯」、「掃除」といった独立した作業にのみ目が行きます。さらにやっかいなことに料理は作ればおしまいというわけではなく、後片付けや食器洗いもきれいにやらなければなりません。掃除であればゴミを捨て、掃除機の掃除だって必要です。つまり代表的な家事の一連の作業にも名もなき家事は含まれているのです。

定年になった夫はむしろ名もなき家事こそ、力を入れてするべきだと思います。そうすれば妻に感謝される場面が増えそうです。ただ、そのためにはどんな家事があり、それぞれの作業手順をきちんと理解しておく必要があります。そうせずに自己流でやった結果、妻の仕事が余計に増えるということにもなりかねないからです。

もちろん妻は妻で、家事それぞれに面倒な作業があるのだということをリストアップし、説明することも大切です。夫は業務を効率よく行なうための手順を考えるというのは会社で仕事をしていた時に経験しているはずですから、名もなき家事も慣れてくれば無難にこなしてくれるでしょう。

したがって、夫は無理に料理を作ろうとか、家中をきれいにしてやろうといった大それたことを考えずとも、簡単だけど面倒くさい名もなき家事を積極的にする方がよほど妻の助けになりそうです。実際、私も前述の名もなき家事の30項目を見てみましたが、そのほとんどは妻がやっているということに気がつきました。

定年後も再就職などである程度働き続けるのか、完全に引退して退職金や年金で暮らしていくのか老後のマネープランは様々ですが、穏やかな家庭生活を送るには妻とのコミュニケーションを良好にすることが大切です。その一歩として名もなき家事に取り組んでみてはいかがでしょうか。

「定年楽園への扉」は隔週木曜更新です。次回は6月13日付の予定です。
大江英樹
野村証券で確定拠出年金加入者40万人以上の投資教育に携わる。退職後の2012年にオフィス・リベルタスを設立。著書に「定年3.0 50代から考えたい『その後の50年』のスマートな生き方・稼ぎ方」(日経BP)、「定年男子 定年女子 45歳から始める『金持ち老後』入門!」(同、共著)など。http://www.officelibertas.co.jp/
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