音楽評論家、作詞家として50年以上のキャリアをもつ湯川れい子さん。仕事だけでなく、家族や恋愛・夫婦関係、子育て、そして闘病などにも触れた自伝が話題です。「女ですもの 泣きはしない」(『六本木心中』より)という自身の歌詞のように、様々な出来事にたくましく向き合ってきた湯川さんに、「女の人生」についてインタビューしました。
「感じる力」をもっと仕事や人生に生かして
―― 湯川さんはエルヴィス・プレスリーをはじめとする海外の音楽を日本に紹介し、作詞家、音楽評論家、ディスクジョッキーなど幅広い活躍で音楽業界での女性のキャリアを切り開いてきた第一人者です。そして80代を迎えた今も精力的に活動しています。女性が長く働き続けることが当たり前となっていくこれからの時代に、女性がすべき心構えとは何でしょうか?
湯川れい子さん(以下、敬称略) 人生100年なんていわれる長生きの時代。しかも、女性のほうが長生きしますよね? 定年が延びて70歳で引退となったとしたって、残りは30年もある。「リタイア後の30年、どうやって過ごしていくの?」というのが、40代、50代が直視すべき現実的な問題でしょうね。
まず、すべての女性たちに気付いてほしいのは、「女は感性豊かな生き物である」ということ。そして、その感性こそが長い人生を彩り続けるものだということ。私は若い頃の輸血が原因でC型肝炎を発症したり、「すい臓がんの疑いがある」と宣告されたりした経験から、死を身近なものとしてずっと意識して生きてきました。同時に、医療や科学とは別の動物的な感性で、女は自分の体と対話することができると確信もしてきました。
AI、BIよりもCI。Catのようなしなやかさを
―― 感性を磨き続けるためには、具体的にどんな思考や行動を持つといいのでしょうか?
湯川 大事なのは、しなやかでフレッシュな心を持ち続けることだと思うの。私はスクール・オブ・ミュージックという音楽専門学校の名誉校長に30年以上就かせていただいていて、全国6校での入学式や卒業式で毎年スピーチをしていますけれど、18歳から20歳くらいの若い人たちに向けて伝えていることと、年齢を重ねた世代に向けて伝えたいことは、実はそう変わらないと思いますよ。